みなさんは「通級指導」と聞いて、どんなところか何をする場所なのか説明をすることができますか?通級指導教室に通っている子どもやその保護者との関わりがなければ、どんな場所なのかわからない方が多いのではないでしょうか。そこで今回は、通級指導についての説明と通級指導教室で特別支援教育を行う担当者についてご紹介します。
通級指導を制度化するまでの経緯
平成4年3月、文部科学省は「通級学級に関する調査研究協力者会議」にて「通級による指導に関する充実方策について」を公表し、通級指導の制度化に関する意見を提出しました。これを受け、平成5年4月から施行されたのです。
そもそも「通級指導」ってなんのこと?
通級指導とは、小・中学校で通常の学級に在籍をしている児童生徒で軽度の障害のある者に対し、障害に応じて「通級指導教室」などの特別の場で行う指導のことをいいます。また、各教科についての指導はみんなと一緒に通常の学級で行われ、障害の状態が異なる児童生徒に個別指導を中心に提供する教育指導形態です。(学校教育法施行規則第140条および同施行規則第141条)
通級指導を受けることのできる時間数とは
通級指導の時間数は自立活動や教科指導の補充を合わせて計算し、年間で35単位時間〜80単位時間、週に換算すると1単位時間〜8単位時間分が標準とされています。また、LD・ADHDの児童に関しては、月に1単位時間ほどでも効果が期待できることもあり、年間で10単位時間〜280単位時間が標準の指導時間数とされていました。
通級による指導対象者にあたる児童生徒とは
通級指導の対象は、「学校教育法施行規則第140条」にある言語障害者・自閉症者・情緒障害者・弱視者・難聴者・学習障害者(LD)・注意欠陥多動性障害者(ADHD)のある児童や、その他に障害があって特別な教育課程を行うことが適当だと判断された児童となります。またこの場合、特別支援学級に通う児童は除きます。
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通級指導の教育課程はどう決められている?
通級指導を行う場合は、文部科学省が施行した学校教育法施行規則に関係なく特別な教育課程を進めることができます。また、特別指導した授業においては教育課程に加えることができるほか、一部に替えることもできるのです(学校教育法施行規則第140条、平成5年文部省告示第7号)。通級の主な指導について以下をまとめました。
学習や生活における困難を改善する「自立活動」
自立活動は、人間の基本的な行動をなすために必要とされる要素や、障害によって起こる学習・生活上の困難を改善するために必要とされる要素で構成が行われています。「健康の保持」を始めとする全26項目に分類された内容に、新たな学習指導区分として「人間関係の形成」が設けられ、必要な項目を選定して指導が行われているのです。
「各教科の補充指導」も教育課程に含むことができる
LDのある児童は国語や算数などの学習に影響を及ぼすおそれがあり、ADHDのある児童は不注意や多動性などが学習につまずきを及ぼすおそれがあります。こうしたことも考慮して、通級指導では自立活動が主に行われていますが、必要があると判断された場合は各教科の学習を補充する指導を教育課程に含めることが認められているのです。
他校でも通級指導を受けることができる
学校教育法施行規則第14条により、児童が在籍校以外の小学校または特別支援学校小学部において特別な指導を受ける際は、他校で受けた特別指導を通級指導の教育課程に組み込むことができるとされています。児童の在籍校と特別指導を行う他校の校長は、互いに十分協議して教育課程を編成しなければなりませんが、他校で行った特別指導を自校で行ったことにみなすこともできるのです。
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1歳の息子がいるシングルマザーです。最近は息子とのお菓子作りにはまっています。
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