親と子の関係から見る自己決定のすすめ
自己決定は、子どもの幸福に繋がるということが分かりました。ここからは、親が子どもに自由な人生の選択をさせるためには、どのような親子の在り方が望ましいかをご紹介していきたいと思います。
自己決定には子どもによる親からの自立が重要
そもそも自己決定力を身に着けるためには、子どもが親から自立することが重要です。岡山大学の心理学研究室では、自立の指標として「親への依存欲求と服従、および本人の精神的自立」を挙げています。
まず「親への依存欲求と服従」についてですが、親が進路などに関与していることを感じている子は、親への依存度や服従度が高く、自己決定には繋がりにくいと言われています。特に、女性は親への依存や服従の傾向があり、親の意思を汲んで進路決定をする、という傾向が見られるようです。
また「精神的自立」のひとつには、責任能力が挙げられます。「親が言ったから従った」などと誰かのせいにすることは、責任を丸投げしており、精神的に自立している状態とは言えません。自身が責任感を持って生きていくことで、自立していると言えるようになるのです。
子どもを自立させるためには「子離れ」も必要
子どもの自立には、親も子離れをする必要があります。「手塩にかけて育てたのだから、子どもを離したくない」という考え方は誤りです。また子どもの望むものをなんでも買い与えたり、言いなりになっていると、その態度が子どもにとっての甘えとなり、自立を阻んでいることにもなるのです。
ただしここで気を付けたいのは、あまりにも干渉しないと冷たい印象の子どもに育つ恐れがあるということです。甘えさせることと愛情を与えることは違うカテゴリーですから、愛情を持って接することは大切です。
子離れ出来ない親の特徴4つ・反面教師にしよう!
子離れしようと思っても、子離れできない親は多いものです。以下に、子離れできない親の4つのタイプについて紹介します。自分に当てはまっていないか気を付けながら、見てみてくださいね。
1.子どもの動向が気になる「依存気質な親」
このタイプの親は、子どもの交友関係から一日の過ごし方まで把握したいという気持ちが強く、子どもに嫌われたくないという思いから、なんでも尽くそうとします。さらに「趣味が子ども」と言っても過言でないほどに子どものことばかりで、いざ手を離れそうになるとひどく落ち込みます。子ども意外に趣味を見つけるなど、自分の人生を楽しむようにすると良いでしょう。
2.「支配欲の強い親」
子どもを支配し、服従させコントロールしたい気持ちがあり、自己顕示欲を満たそうとするタイプです。そういう親の子どもは親の指示通りに動きがちで、社会的責任能力が育ちにくいとされています。
そうなってしまうと、親子共倒れとなり家族にとっての幸せは程遠くなってしまう可能性もあるため、子どもとよく話し合い、意見があれば助言という形を取った方が良いでしょう。
3.「過保護」な親
親自身が完璧を目指していて失敗を恐れるあまり、子どもを正しく導こうとするタイプです。しかし人生には、失敗から学ぶ点もたくさんありますので、放任することも大切だと言えます。
4.「自己愛の強い」親
子どもが主体というよりは、「子育てを頑張っている自分が好き」という自身も未熟なタイプです。ある意味では、最もたちの悪い特徴とも言えるでしょう。
おわりに
人生の自由な選択は、学歴や収入よりも幸福度をあげますが、それには子どもの自立や親の子離れも関連してきます。いずれにせよ周囲の協力や配慮が必要になってくるのです。この記事を読んだ皆さまも、子どもにとって、なにが最善であるのか考える機会を持ってみてはいかがでしょうか?
※本記事は掲載時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。ご了承ください。
ピックアップ
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。