小学3年から「書写」で書道が始まり、3年以上の冬休みの宿題に「書き初め」が出されることも少なくありません。ただ、親として、子どもにどうやってアドバイスやサポートをしてあげればよいか、とまどうこともあるかと思います。普段の半紙とは違い、大きな紙にかくとなれば、なおさらです。そこで、今回は書き初めを上手に書くコツをご紹介。ちょっとした手間をかけたり、注意を払ったりすることで、見栄えのよい書き初めを完成させることができます。
「書き初め」についての豆知識
ところで、「書き初め」って何のためにするかごぞんじでしょうか? まずは書き初めの由来についてご紹介します。また、書き初めには半紙よりも大きな紙が使われることが多いですが、書き初め用の紙にもいろいろあります。紙の種類についても知っておくと便利ですよ。
宮中行事が江戸時代に庶民に広がる
もともと、「書き初め」は年の初めに抱負や目標を書くこと。宮中には年初や改元、代替わりなどのとき、役人が天皇に文書を差し上げる「吉書始め」という儀式があり、江戸時代以降、寺子屋で庶民が字を習うようになると、年頭に文字を書くことが一般に広がったものと思われます。
通常、書き初めは1月2日に行われ、1月15日の左義長やとんど焼きなどと呼ばれるたき上げで、正月飾りとともに燃やします。その炎が高く上がると、字がうまくなるといわれています。
書き初めに使われる紙の種類
書き初めには半紙よりも大きく、長い紙が使われることが多いですが、実は決まりはありません。よく使われるのは「半切」「半紙三枚判」「八ツ切」と呼ばれるものです。
- 半切
「条幅」とも呼ばれるもので、書き初めでよく使われるタイプ。約34.5×136cmで、縦・横ともに半紙よりも大きく長い紙です。
子どもの書き初めでは一行に大きく文字を書きますが、紙の左右を分けて二行で漢詩を書いたり、昔の有名な書家の作品を臨書(まねてかくこと)したりとさまざまな種類の書を書くときに使われます。 - 半紙三枚判
書道教室などの書き初めでよく使われる紙で、大きさは約24.3×100cm。名前のとおり、半紙を縦に3枚ほど並べたサイズです。 - 八ツ切
17×68cmのサイズ。全紙の1/8の大きさなので、この呼び名があります。学校の宿題で指定される紙としては、半紙三枚判よりもこの八ツ切のほうが多いようです。
学校の宿題では、用紙の種類を指定されていることも多いようです。特に半紙三枚判か八ツ切はまちがえないように気をつけましょう。
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毛筆の基本をおさらいしておこう
書き初めといっても毛筆で文字を書くという点では、半紙に書くときと同じです。毛筆を上手に書くには、筆先の入り方と筆の動かし方を押さえておく必要があります。書き初めを書く前に、漢字とひらがなを毛筆で書くときのポイントを、おさらいしておきましょう。
漢字は8種類の「点画」をマスター
「点画」とは漢字を構成する要素のこと。「点」「横画」「縦画」「曲がり」「折れ」「左払い」「右払い」「そり」の8種類あります。
どの点画も共通しているのは、書き始めるときの筆の穂先が左斜め上45°になること。このことを踏まえて、それぞれの点画の書き方を見てみましょう。
- 点…筆を置いたら右下に短く引いて止める
- 横画・縦画…筆を置いたら、そのまま横または下に腕を引いて筆を動かす
- 曲がり…肘をしっかり動かし、穂先の向きが変わらないように注意しながらゆっくりと曲げる
- 折れ…横画を書いたら止まり、力を入れずにスッと下に引く
- 左払い…筆を置いたあと、ゆっくりと左斜め下方向へ筆を引きながら、少しずつ筆の根元から持ち上げる
- 右払い…筆を置いたら、少しずつ右斜め下方向へ筆を引き、払う直前で一度止まる。その後、穂先をまとめるように意識しながら筆をあげる
- そり…筆を置いたら、肘を動かしながら円を描くようにしっかりそる
ひらがなは「曲がり」がポイント
ひらがなは漢字と異なり、「曲がり」が多いのがポイント。特に「の」はぐるっと筆を回す「大回し」を難しく感じる子どもが少なくありません。ひらがなも漢字と同様、書き始めは筆の穂先が左斜め上を向けます。左斜め下に線を引いたあと、筆を回し始めるところで2度、筆の穂先の向きが変わるところに注意します。「の」は「初日の出」「日の光」など、書き初めの課題にもよく使われるひらがな。しっかりマスターしておくと、書き初め全体が引き締まります。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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