小学校に入学すると、多くの学校では給食が始まりますよね。色々なメニューが日替わりで出てくる給食は、一日の中で楽しみな時間という子どもも多いでしょう。
しかしその一方で、子どもの給食嫌いが問題になっています。今回は、給食嫌いにはどのような原因があるのか、克服方法はあるのかについて解説します。
子どもの給食嫌いが問題になっている?
それでは早速、子どもの給食嫌いに焦点を当てて詳しく見ていきましょう。給食は、小学校に入学すると多くの学校で始まるものですので、まずは子どもの給食嫌いの実態について把握することが大切になります。
給食が嫌いな子どもはクラスに4人いる想定
実は、給食が嫌いな子どもはクラス単位で見てみると、各クラスに4人程度いると考えられています。2020年12月に、(株)日本教育資料が「他人と食事をする事にかなり苦手意識があるか」という調査を行ったところ、1000人中121人もが苦手意識があると答えました。
これは、小学校のクラスに換算すると、1クラスに4人に該当するという結果になるのです。また、かなり苦手意識がある程ではないけれど、「やや苦手意識がある」と答えた人は35.1%もいます。
給食嫌いは子どものメンタルにも影響する
給食は、みんなで一斉に食べるものですよね。そのため、「ただ自分だけが給食が嫌いなだけ」と割り切れない環境であることは多いと言われています。
他のクラスメイトは、給食を楽しく美味しそうに食べられているのに、自分だけ給食が嫌いという状況が、少しずつ子どものメンタルに影響を及ぼしている事も指摘されているのです。
給食嫌いで学校に行けなくなる子どももいる
大人から見ると、たかが給食が嫌いというだけで、そこまで子どもに大きな影響が出るとは考えにくいかもしれませんが、子どもにとっては給食が嫌いという事が学校に行けなくなるほどの原因になり得ます。給食が嫌いな子どもの一日の心の動きを見てみると、朝起きた時から「給食があるから学校に行きたくない」と考えてしまうケースが多いのです。
また、学校に行けたとしても、刻々と近づいてくる給食の時間まで、ひたすら給食の事を考えながら過ごす事になります。このような心の動きからも、給食が嫌いという事がいかに子どものメンタルに影響を及ぼすのかが分かりますね。
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子どもが給食嫌いになる原因とは?
さて、給食が嫌いな子どもが想像以上に多いという現状は分かりましたが、どのような原因から子どもが給食嫌いに陥ってしまうのか気になりますよね。以下に、子どもが給食嫌いになる原因についてお話ししていきます。
給食嫌いになる原因【感覚的な理由】
給食嫌いになる1つ目の原因は、感覚的な理由です。感覚的な理由とは、「食べる」という行動に関わる感覚器官(五感)が他の人よりも過敏、または鈍感であるという特徴によって、給食で出される食べ物の食感の刺激や味などを強く感じすぎる、または感じにくいという理由から、美味しく食べる事が出来ないというものです。
例えば、通常ならば美味しく感じる「サクサク」とした食感が苦手だったり、食べ物の盛り付けなどの見た目にこだわりがあったりするなどの理由が挙げられます。また、スープなどの飲み物に関しても、こだわりが強いと喉から落ちて行かないといった傾向も見られます。
給食嫌いになる原因【機能的な理由】
機能的な理由とは、咀嚼(そしゃく)や食べ物を飲み込む嚥下(えんげ)に関する口腔機能が未発達であるという事が挙げられます。口腔機能が未発達の場合、給食で出てくる食材をうまく嚙み砕く事が出来なかったり、うまく飲み込めなかったりといった状態になります。
これが続くと、食べる事自体にストレスを感じるようになり、給食が嫌いになってしまうのです。
給食嫌いになる原因【精神的な理由】
精神的な理由とは、幼い頃に、食べる事で嫌な体験をしたりして、その事がトラウマとなっているケースが当てはまります。
例えば、厳しい両親のもとで育った場合、食べる時の環境やプレッシャーが影響している事も考えられます。このような理由があると、食欲自体がわかなくなるケースがあるのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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