平成20年、文部科学省が監修の下で「学校給食の食物アレルギー」についてガイドラインを発行しました。しかし、平成24年の12月には食物アレルギーを持つ生徒が学校給食を食べた後にアナフィラキシーショックを発症して亡くなる事故が発生。二度と同じ事故を起こさぬよう、平成26年の3月に学校給食の食物アレルギーの対応を徹底したのですが、実際の声はどうなのでしょうか。
文部科学省が学校に促している対応とは
文部科学省は、「全ての生徒が安全に楽しんで給食時間を過ごせること」を基本に、学校給食での食物アレルギー対応に取り組むよう促しています。また、食物アレルギー以外にも、衛生管理の徹底と食中毒への対応も呼びかけています。
文部科学省ガイドライン :http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/syokuiku/1355536.htm
アレルギー対応の申請と個別面談
基本的には「新入学時・進級時・新規発症・転入時」にアレルギー対応の申請を行います。アレルギー対応を希望した保護者は「学校生活管理指導表」というものを新入学時や新規発症、転入時に提出し、個別面談へと進みます。進級時はアレルギー対応の継続を申請しますが、症状が治まった場合には取り下げの申請をすることができます。
対応食プランの作成と内容の把握
個別面談で得た情報を学校栄養職員等がまとめ、個別でプラン案を作成。調理場の環境や調理員の人数等を考慮しながら安全に提供できる給食のプランを検討します。そのプラン案は食物アレルギー対応委員会へ回され、その後校長や共同料理長が依頼を受けて全教職員へ知らせるといった流れです。また、医療機関や消防署との連携も図るなど徹底されています。
対応食の開始と定期的な個別指導
保護者と最終確認を行った後に、学校側で万全の体制を整えます。担任は食物アレルギーを持つ生徒の喫食状況を調理場へ知らせるなど、対応食に問題がないかのチェックも欠かしません。また、生徒と保護者に対して定期的に個別指導を行い、家庭での食事状況や医療機関での受診状況などを聴取するなど、良好な関係を築くことで適切な対応ができるとされています。
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一番気になるのは教室での対応
個別面談や指導などは保護者の方も一緒に受けることができるため、安心する面は多いと思います。しかし、目に届かないのが教室での対応。いくら子どもや先生から話を聞いたところで不安は拭えません。ここでは教室での基本の対応をお伝えします。
給食時間における誤食防止の配慮
給食時は誤食を避けるために、本人との献立内容の確認はもちろん、給食当番の生徒にも担任が声をかけて配膳に気を配ってもらいます。代替品などの対応食がある場合はほとんどが別皿で用意されているので問題はありません。もしおかわりをしたいときは担任と確認をし合うよう注意します。また、交流給食などいつもと違う給食時には監督者が注意を促します。
家庭科や課外授業など食物を扱う授業
給食時以外にも食物に触れたり食べたりする授業があります。少しでも触れてしまうとアレルギーの症状が出てしまう生徒も中にはいるので注意が必要ですが、アレルギー品目を使用せずに授業内容を組む先生がほとんどです。しかし、宿泊を含めた課外授業になってしまうと、一学年分の食事を配慮することとなってしまうので、この場合は学校給食と同じように担任と確認し合いながらアレルギーに注意をします。
クラス内での指導や緊急時の対応
学校全体で、食物アレルギーの基本的な理解と配慮を促す指導を行います。また、自己判断できる能力を育成するなどの個別指導を設けることもありますよ。万が一誤食してしまった場合に備え、職員全員が対応できる体制を整えておきます。いくつかの条件が複合すると食物依存性運動誘発アナフィラキシーを起こす場合もあるため、食後の運動を避けるなどの配慮もします。
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1歳の息子がいるシングルマザーです。最近は息子とのお菓子作りにはまっています。
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