第一生命保険株式会社が1989年から毎年調査をしている、全国の保育園・幼稚園および小学生を対象に行っている「大人になったらなりたいもの」のアンケート調査。2018年1月、2017年の調査結果が発表されました。ここ数年の傾向と異なる結果も見られた、今回のアンケート。何が子どもたちの夢に影響を与えているのか、小学生から中学生まで考察していきたいと思います。
男の子の人気職業上位は昨年から動きあり
男の子のベスト3は以下のとおりです。
1位 学者・博士(8・8%)
2位 野球選手(7・2%)
3位 サッカー選手(6・7%)
1位は「学者・博士」。「野球選手」が昨年の4位から2位にランクアップし、「サッカー選手」を逆転しました。ちなみに、2016年のベスト3は上から「サッカー選手」「学者・博士」「警察官・刑事」でした。
このアンケートを見ると、ベスト3のパーセンテージがどれもあまり高くなく、三つの職業を足しても22・7%しかありません。2005年のベスト3を見ると「野球選手(16・3%)」「サッカー選手(15・1%)」「学者・博士(4・3%)」となっていて、三つの職業を足すと35・7%を占めていました。ここ数年、男の子のなりたい職業として圧倒的な人気を誇るものがなく、分散化が進んでいると考えられます。ベスト3の占有率は年によって変動がありますが、1位を占める割合である8・8%は1989年の調査開始以来、最も低い数値です。
順位 | パーセント | |
お医者さん | ||
警察官・刑事 | ||
大工さん | ||
消防士・救急隊 | ||
食べ物屋さん | ||
建築家 | ||
水泳選手 | ||
電車・バス・車の運転士 | ||
料理人 |
「学者・博士」が15年ぶり1位
2003年以降、「学者・博士」は「野球選手」「サッカー選手」と並んで安定的に2、3位に入っていましたが、2002年以来15年ぶりに1位に輝きました。特に小学生の間で人気を集めたようです。
2002年といえば、日本人がノーベル賞をダブル受賞した年ですが、今回の1位となった背景にも、2014年から3年連続で日本人がノーベル賞を受賞したことがあると考えられます。
また、2011年に小学校の学習指導要領が新しくなり、理科教育に実験を積極的に取り入れる動きが出ています。このことが影響してか、実験を行う私塾も登場し、子どもたちが主体的に学び、考える機会が増えています。こうしたことも、学者や博士になりたいと思う気持ちを後押ししているのではないでしょうか。
「野球選手」が2年ぶりに2位
昨年3位だった「野球選手」が2位に上昇。昨年1位だった「サッカー選手」は3位となりました。この二つは基本的にベスト3に入ることが多く、ワールドカップの開催や海外での日本選手の活躍など、大きなニュースがあると、その影響を受けて一方が他方の上位に来る傾向にあります。
今回は、2017年にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)や大谷翔平選手のメジャーリーグへ移籍、高校野球の話題性など、野球に関するトピックスが目立ったこともあり、野球がサッカーを上回ったかたちになりました。今年は、ロシアでサッカーのワールドカップが開かれることになっています。来年、サッカー人気がその影響を受けて1位に輝くか、注目したいところです。
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女の子は「食べ物屋さん」が不動の人気
続いて、女の子のベスト3も見てみましょう。
1位 食べ物屋さん(11・3%)
2位 看護師さん(9・0%)
3位 保育園・幼稚園の先生(6・9%)
1位の「食べ物屋さん」は21年連続。2位の「看護師さん」は前年4位からのアップです。ここ7、8年は「食べ物屋さん」の占有率が15~20%ほどで推移していましたが、今回は11・3%と大きく下がり、2位の「看護師さん」との差が縮まりました。小学生の中・高学年に限ると、最も人気があったのは「看護師さん」でした。
また、ここでは省きましたが、4位には「お医者さん」がランクイン。「お医者さん」も男女問わず常にベスト10に入っていますが、2017年は女の子のランキングで過去最高となる6・6%とマークしました。「看護師さん」「お医者さん」が女の子、特に小学生中・高学年の間で支持された背景には、昨年、医療現場を描いたドラマがいくつも放送されたことがあるのかもしれません。
順位 | パーセント | |
お医者さん | ||
学校の先生(習い事の先生) | ||
歌手・タレント・芸人 | ||
薬剤師さん | ||
飼育係・ペット屋さん・調教師 | ||
ダンスの先生・ダンサー・バレリーナ | ||
デザイナー |
21年連続で「食べ物屋さん」が1位
女の子のなりたい職業として、常に人気が高い「食べ物屋さん」。特に未就学児・小学校低学年の間で支持を得ました。アンケートでは「食べ物」の具体的な中身についても尋ねていて、「パティシエ」(36・6%)、「ケーキ屋さん」(29・3%)、「パン屋さん」(12・2%)となっています。
先ほども述べたように、年齢が上がるにつれて「食べ物屋さん」を挙げる子どもの割合は減少し、小学校高学年に限ると5・8%で3位。代わって1位は「看護師さん(10・4%)」となります。成長とともに、働くことに対して楽しさだけではない、やりがいのようなものを求めるようになるのかもしれません。
「ダンス」が2年連続でベスト10入り
ベスト3に加え「お医者さん」や「学校の先生」「タレント」など、女の子のベスト10のラインアップは長年あまり変わりません。そんななか、新たな職業として昨年からランク入りをしているのが「ダンスの先生・ダンサー・バレリーナ」。2009年に初めて9位に入り、その後はしばらくランク外でしたが、2016年に10位に。そして、2017年は9位に入りました。現在、中学校で体育の必修科目になっていることもあり、ダンスレッスンの教室は増加中。小学生の習い事としても定着してきたようです。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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