保留児童という言葉を耳にしたことがありますか?保留児童は隠れ待機児童とも言われ、各自治体が発表する待機児童数の裏に隠された存在となっています。政府はこの問題を明確にするため待機児童の定義を改め、2018年度より各自治体の集計に反映させる見通しです。しかし、そもそも待機児童と保留児童の違いとは一体何なのでしょうか?
待機児童と保留児童の違いとは?
保留児童とはあまり耳慣れない言葉ですので、その意味を想像するのは難しいかもしれません。逆に待機児童は頻繁に耳にし、多くの方が保育所に入所を希望しているが入れない児童というイメージを持たれていると思います。しかし実際はどうなのでしょうか?
保留児童とはどんな状態を指すの?
保留児童とは、認可保育所などに入所希望を出したのに入れなかった児童のことです。自治体によっては単に「保育所に入所できない児童」などとしている場合もあります。一般に公表されている各自治体の待機児童数は、この保留児童の総数から、その時の保育状況や保護者の状況など、いくつかの条件にあてはまる児童を除外したものなのです。
待機児童として認められる条件とは?
保留児童の中から待機児童として認められるには、幼稚園の長時間預かり保育・地方が単独で運営する保育事業・一時預かりや一時保育・事業所内保育を利用していない、保護者が育児休業を取得できない、保護者が求職活動中である、保護者の都合で特定の保育所のみを希望していない、などの条件を満たす必要があります。つまり、現在何らかの保育サービスを受けられる状況にある、親が育児できる状況にあるなどと判断された場合は待機児童にはならないのです。
待機児童は保留児童の中の一部
このように、保育所への入所を希望しているのに入れない子ども全体が保留児童であり、待機児童はその中の一部であることがわかりました。しかし保留児童の存在は表に出ないことが多いため、政府や自治体の公表する待機児童数をみただけでは一般の人が実態を把握しにくくなっています。その自治体の待機児童数が少ないからと言って、必ずしも希望の保育所に入りやすいというわけではないのです。
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保留児童と待機児童の境目の問題点
現在の保留児童と待機児童との境を分ける定義には、いくつかの問題点が指摘されています。定義によっては自治体ごとに集計する際のバラつきがあるため、自治体間の比較がしにくくなっているのです。ここでは問題になっているそれらの定義についてみていきましょう。
保護者が育児休業を取得している場合
現在の待機児童の定義では、保護者が育児休業を取得している場合は待機児童に含めなくてもよいとされています。そのため多くの自治体では待機児童から除外していますが、含めている自治体もあるため、待機児童数に大きな隔たりが生じているのです。これでは含めていない自治体の方がより待機児童対策が進んでいるかのようにみえてしまいます。
保護者が求職活動を停止している場合
保護者が求職活動を停止している場合も、家庭で育児ができる状態と判断され、待機児童からは除外されます。ただしこの「求職活動の停止」を客観的に確認することは難しく、保護者からの自己申告によって判断せざるを得ない状況です。そのため、正直に申告した人のみが待機児童から除外されてしまうという矛盾も生じています。
通える施設があるのに特定の施設を希望している場合
自宅から無理のない範囲で通える施設が他にあるのに、特定の施設のみを希望している場合も待機児童とはなりません。厚労省が示す無理のない範囲の基準は、通常の交通手段を利用し自宅から20~30分以内、などとされていますが、保護者の通勤経路から大きく外れている場合などは負担が大きくなります。これを待機児童に含めるかどうかは各自治体の判断次第です。
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