子どもたちがSNSを使用したことから、事件に巻き込まれるケースが増えています。被害児童は中学生、高校生が多い結果となっていますが、小学生も例外ではありません。SNSに対する子どもの意識や巧妙な大人の手口をまとめました。ご家庭で話し合うきっかけにしてください。
SNSで事件に巻き込まれる子どもたち
警察庁がまとめた「平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について」という資料によれば、子どもたちがSNSを通じて事件に巻き込まれる件数は年々増加しています。いわゆる「出会い系サイト」ではなく、TwitterやLINEといったごく普通のSNSが犯罪被害の原因になっていることが衝撃的です。
最新の調査では過去最多1,813人
2018年におこなわれた最新の調査結果によれば、被害にあった子どもは過去最高の1,813人にのぼりました。うち小学生は41人です。この数を多いと見るか少ないと見るかについては人それぞれですが、調査で浮彫になった数の何倍もの未遂事件があると見て間違いはないでしょう。千葉県と大阪府では、小学校高学年女児を中年男性が誘拐した事件もあり、一歩間違えばもっと大きな被害が出た恐れもあります。発覚していないだけで、いまも悩み、苦しんでいる子がいないとは限らないのです。
SNSに関連した事犯はスマホの所持率があがるごとに増加。出会い系はサイトに関連した事犯は平成20年の法改正以降は減少しています。
事犯に関係しているのはほぼ高校生と中学生となっていますが、小学生がいることも見落とししてはいけない問題といえるでしょう。
では一体どんな事件にまきこまれてしまったのでしょうか。最近の子どもが被害にあった実際のネット犯罪をまとめてみました。
ケース1
大阪市在住の小学6年生の女児(12歳)が行方不明になり栃木県で保護された。この事件で未成年者誘拐として逮捕された35歳容疑者はSNSで知り合った女児を誘い出したとされる。
ケース2
千葉県在住の小学校高学年の女児を誘拐して、未成年者誘拐で逮捕された29歳の男は「親の所にいるのが嫌なら、俺の所に来なよ」と女児にSNSでメッセージを送り、家出をすすめ自分の家まで連れ込んだとされる。
ケース3
埼玉県ではツイッター上で家出願望の女子中学生に「相談にのるよ」返信して誘い出し、自身の借家に住まわせた30代の男が逮捕された。最近では家出をしたあとに頼る大人を探す「#神待ち」というハッシュタグが利用されていることが多く、警視庁も警戒を強めている。
小学生でもネットだけの友だちがいる時代
内閣府の調査によれば、スマートフォンを所持している小学生は全体の35.9%です。またセキュリティメーカーがおこなったスマートフォン利用実態調査によると「ネット上だけでコミュニケーションを取る友達がいる」と答えた小学生は女子が27.2%、男子が34.0%と驚くべき数字になったのです。
もちろん、こうした子どもたちは知り合った友だちが自分と同じ小学生や、すこし年上の中高生だろうと思っているのです。そうでなくても、「友だちなんだからいい人だ」と、信じて疑っていないので警戒心がうすれています。中には多少警戒していても、「自分は気をつけているから大丈夫」と考えている子どもがいるかもしれません。
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SNS事件の巧妙な手口
SNSを利用して近づいてくる大人は非常に巧妙です。大人だって騙されてしまうのですから、小学生などひとたまりもありません。子どもたちの被害の8割は、児童買春・児童ポルノ事犯です。とくに小学生は自分が性の対象になることがわかっていないため、あわせて注意をうながすことが必要です。
アニメやゲームを餌に子どもを狙う
SNSは、趣味の話をするコミュニケーションツールとして機能します。たとえ学校の友だちと趣味があわなくても、SNSのなかでは、好きなアニメやマンガ、ゲームの話で盛り上がります。子どもたちを狙う大人は、SNSの匿名性を利用して小学生になりすましたり、性別を偽ったりして子どもたちと打ち解けているのです。SNSでは、見えるものがすべて正しいとは限らないこと、嘘をつく人もいることを教えることが必要です。同時に、親がアニメやマンガ、ゲームをやみくもに否定せず、子どもが好きなものや興味のあるものについて話を聞いてあげることも大切でしょう。
自撮りを送らせてさらに脅迫する
「相手がどんな人か知りたい」という好奇心につけこんで、「私も送るからあなたも送って」と自撮りを送らせる手口があります。また「ゲームのアイテムをあげるからかわりに写真がほしい」というものもありえること。はじめは部分的な写真でも、言葉巧みに誘導したり、脅したりして今まで以上の写真を送るよう、強要してくるでしょう。「顔が写っていなければ誰かわからないだろう」という思い込みで、体の写真を撮って送ってしまう子もいます。要求がエスカレートして、困ったことになっても、子どもたちは悪いことをしたという罪悪感から誰にも相談できずに苦しむことになってしまいます。
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