現在、小学校・中学校では、男女とも体育の授業でダンスが必須となっています。保護者の方の中には、中学校で女子はダンス、男子は武道の授業を受けた方もいらっしゃるでしょう。
また、中学校のダンスの授業では、ヒップホップなどの音楽が取り入れられている「子どもをダンススクールなどに行かせたほうがいいの?」と不安に思う方もいるのではないでしょうか
ここでは、小中学校でダンスが必修化された背景や授業の内容、ダンスを必修化した狙いについてご紹介します。
小学校~中学校1・2年でダンス必修
現在、小学校から中学校2年生まで、体育の授業でダンスが必修になっています。この形態になったのは、2008(平成20)年に小学校と中学校の学習指導要領(文部科学省が定めた学校のカリキュラムの基準。約10年に一度改定される)が改訂されたときです。
小学校と中学校、それぞれの体育の学習指導要領について、改定前と改訂後の違いを見てみましょう。
小学校の体育では以前からダンス必修
小学校では学習指導要領の改正前から、体育の授業に「表現運動系」というカテゴリーがあります。その一部としてダンスが組み込まれていました。低学年・中学年・高学年で取り組む内容はそれぞれ次のとおりです。
学年 | 「表現運動」の内容 |
低学年(1・2年) | 表現リズム遊び(→改正後「表現遊び」と「リズム遊び」に) |
中学年(3・4年) | 表現 リズムダンス |
高学年(5・6年) | 表現 フォークダンス |
リズムダンスとは、ロックなどの軽快なテンポのダンスです。また、フォークダンスは「伝統的な踊り」という意味で、日本各地の民踊や外国のフォークダンスが含まれています。
学習指導要領改正後、低学年の表現運動の内容が「表現リズム遊び」から「表現遊び」「リズム遊び」と2項目に分けられましたが、それ以外は改正前と変わっていません。
中学校では2012年より男女ともダンス必修化
一方、2008年の学習指導要領改正以前の中学校の体育では、武道かダンスの選択制となっていて、男子は武道、女子はダンスの授業を行う学校が多く見られました。しかし、学習指導要領改正により、2012年より1・2年生については男女とも武道・ダンスは必修、3年制は選択制となっています。
中学校の体育におけるダンスは「創作ダンス」「フォークダンス」「現代的なリズムのダンス」の3つの構成です。「現代的なリズムのダンス」の例として、学習指導要領の解説ではロックやヒップホップを挙げています。
中学校のダンスでは小学校で取り組んだダンスが基本。そこからイメージしたものを表現したり、踊ったりすることをみんなの前で発表し、交流することを目標としています。
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小学校の体育で行われるダンスとは?
上で述べたように、小学校の体育では「表現運動系」の授業の一つとして、ダンスが取り入れられています。しかし低学年・中学年・高学年で目標が異なります。また、表現運動系はダンス単独で成り立っているわけではなく「表現(表現遊び)」とセットになっています。
ここでは、それぞれの学習内容や目標をご紹介します。
低学年は遊び的な要素に重点を置く
1・2年生の低学年における「表現運動系」は「表現遊び」と「リズム遊び」で構成されています。表現遊びは動物や乗り物などになりきり、動いたり踊ったりするものです。リズム遊びは、ロックやサンバなどのリズム、または児童がよく知っている曲に合わせ、自由に踊るものです。
リズム遊びが「ダンス」に相当しますが、低学年にとって「正確に踊ること」は重要ではありません。次のようなことを目指しているからです。
- リズム遊びや表現遊びに進んで取り組む
- 安全に注意しながら誰とでも仲よく踊れる
- 楽しく踊るためにどんな動きをすればいいか考える
- 友だちの踊りのいいところを見つける
中・高学年はリズムダンスやフォークダンス
中・高学年の「表現運動系」の構成は、3・4年生の中学年では「表現」と「リズムダンス」、5・6年生の高学年では「表現」と「フォークダンス」となっています。
表現とは、自分の身の回りにあるものをテーマに、表現したいイメージや思いを表現する運動のことです。中学年ではロックなどの軽快な音楽、高学年では国内外の伝統的な踊りに合わせて心身を開放し、リズムに合わせて表現の中に没入したり、みんなで交流したりする楽しさを知ることを重視しています。
やはり、中・高学年でもダンスのテクニックを求めるものではないことがわかります。なお、この考え方は中学校にも引き継がれます。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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