不登校の出席扱い制度における注意点
出席扱い制度は、不登校の子どもたちにとって選択肢を作り、自己肯定感を向上させるためには良い制度だと言えるでしょう。ただ、この制度を利用する際には事前に気を付けるべき事柄もあります。
学校への復帰が条件となる
不登校になるのは、学校に行けない理由があるからです。出席扱い制度は、その受け皿となるべきですが、制度利用の前提が「学校への復帰」となっています。
この項目は、子どもにとって精神的に苦しいものになる可能性があります。現にこの条件があるからこそ、制度を利用したくないと言い出す子どもも少なくないようです。
子どもが心の悩みを抱えており、学習意欲がない場合も
出席扱い制度は、自宅で学習に励み、その意欲や経過が認められることが大切となります。しかし、子どもが心理的不安を持っていたり、うつ状態などが見られたりするケースもあるでしょう。そういうときは学習意欲自体が湧かないものです。制度を利用する前には、家庭や学校、地域や医療機関などが協力して心のケアを行い、子どもの状態を整えることが重要です。
内申点は付いても、点数が低い
内申点が付くことが魅力でもある出席扱い制度ですが、自宅学習の場合だと0~5の評価点のうち、1点しか付きません。このように低い点数だと、どんなに頑張っても良い評価にはたどり着けずに、頭を悩ませる子どももいます。
例えば、4~5点の高評価を得たいなら、学校復帰が必要となります。どうしても、学校復帰を好まない場合は、フリースクールなどの外部機関の利用を考える必要が出て来てしまうのです。
おわりに
学校に行きたくないけれど、自分の頑張りを認めてほしいと思っている不登校の子どもは多いものです。そういう意味では、出席扱い制度は何らかのきっかけになり得ることでしょう。しかし、不登校にはさまざまな理由が複雑に絡み合っています。そのため、学校への復帰を制度利用の前提にするなどの条件は、今一度検討しなおす必要があると言えます。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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