「愛着形成」は赤ちゃんの生きる力の基礎となるものです。身近な大人との、関わりの中で育つことは、赤ちゃんに安心感を与えます。愛着形成はまさに“生きる糧”。こちらの記事では愛着(アタッチメント)の概要や役割をご紹介します。注意したい愛着形成障害、そして子持ちのママ・パパに心掛けていただきたい点も解説しますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
愛着形成とは?絆の中で赤ちゃんを育む
赤ちゃんの健やかな成長に欠かせない愛着形成。お世話してくれる大人と精神的な絆を育むことで、赤ちゃんは安心感を覚えます。愛着形成は脳の発達にも関わるといわれ、まさに“生きる糧”、成長の基礎となるものです。まずは「愛着」という言葉になじみが無い方に向けて、愛着形成を簡単にご説明しますね。
愛着とは赤ちゃんと大人との“絆”
愛着とは「アタッチメント」と呼ばれる イギリス出身の心理学者、ボウルビィが提唱した概念です。ボウルビィの定義によると、愛着とは「人が生後数ヶ月の間に特定の人(母親や父親)との間に結ぶ情愛的な絆」です。この絆が育まれることを「愛着形成」と呼びます。
例えば赤ちゃんがずりばい・ハイハイを覚え出すと、ママやパパの「後追い」をする子もいます。「トイレまでついて来られて大変!」という声も多いものです。あるいは「人見知り」が始まって、ママ以外に抱っこされると「ぎゃ~!」と泣き出す子もいるでしょう。ちょっと手を焼く場面かもしれませんが、これらはママ・パパとの間に愛着形成がなされている証拠です。
0歳時点の愛着形成が赤ちゃんの脳を育む
日本産婦人科医会が公開する資料ではこんな風に解説されています。
「子どもの脳の発達は、大人である両親または養育者が愛情を持って子どもを大事に育てることと、それに対して子どもが反応することの相互作用でできあがっていく」
同学会によると、子どもの脳は満1歳時点でおよそ70%ができあがるというのです。身体だけでなく脳と心も発達する乳児期。愛着形成が大切な役割を担っています。まだ言葉もしゃべれない赤ちゃんですが、脳は目覚ましいスピードで成長しているのですね。
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愛着形成が大切な理由と「愛着障害」
愛着形成は“心の安全基地”を作る行為ともいわれています。まだ幼い赤ちゃんにとって、毎日は驚きとハプニングの連続。初めて行く場所・初めて見るものにビックリして「ぎゃ~!」と泣き出すことも多いですよね。そんなときはママ・パパの抱っこでホッと安心します。こんな風に困ったことがあっても“大丈夫”と理解することで、赤ちゃんは健やかに成長していくのです
愛着障害に陥ると…生きる気力が見つからない!?
もし愛着形成がなされなかったら、どうなってしまうのでしょうか?例えば乳幼児期にネグレクトや暴言を受けると、脳がダメージを負い「愛着形成障害(愛着障害)」に陥る恐れがあります。子どもの脳を調べた研究では、愛着障害の子どもは刺激に対する反応が鈍くなっていることが分かりました。
脳内で分泌される「ドーパミン」という神経伝達物質があります。ドーパミンは感動したときや興奮したときに分泌される“意欲のホルモン”とも呼ばれていますが、愛着障害の子の脳ではドーパミンが分泌されなかったそうです。愛着障害に陥ると「目標のために頑張る」とか「何かに夢中になる」といった体験が得難くなるかもしれません。
愛着形成がなされていると…つまずいても持ち直す
わが子にイキイキとした人生を過ごしてもらうために…0歳の時点でしっかり愛着形成をしていきたいですね。愛着形成については世界中で研究されていますが、乳幼児期に大人としっかり絆を育むことは、学力や問題解決能力もいい影響があるともいわれています。感情のコントロールが上手だから、何かでつまずいても持ち直すことができるそうです。優秀な子どもを育てるための愛着形成ではありませんが、人生を強く・たくましく生き抜くためにも、愛情の中で育ててあげたいですね。
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30代、保育士。夫と未就学児の長男・小学生の長女の4人家族。初めての出産で分娩トラブル、乳腺炎、産後クライシス、保活失敗など…数々の「洗礼」を受けた経験から『特別なことをするのではなく、地に足の着いた育児』をモットーに、日々奮闘しています。現在は認定こども園で働く傍ら、ライター業にも従事。
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