たびたび取り沙汰されるいじめ問題。もし、わが子がいじめの加害者になってしまったらどうしますか?特に小さい子どもの場合、その後の親の対応が重要になってきます。しかし、どのような対応をとるべきか分からないという方も多いのではないでしょうか?今回は、いじめをしてしまう子どもの心理や特徴をご紹介するとともに、親の対応についても考えていきたいと思います。
いじめの加害者になる子どもの特徴と心理
いじめは、「当該児童生徒が一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより精神的な苦痛を感じているもの」と文部科学省によって、定義されています。いじめは被害者の心と体を傷つけ、最悪の場合には、その後の人生や命までも奪ってしまうことがあります。では、いじめをしてしまう子どもは、どのような心理を持っているのでしょうか?
協調性がなく自己中心的なことが多い
自分の思い通りにならないと気に入らない子どもは、自分の言動によって相手がどのような気持ちになるのかを考えることができないため、他の子どもに暴言を吐いたり暴力を振るったりすることがあります。それが日常化し、エスカレートすることでいじめの加害者になってしまうパターンです。このような子どもは、自分の気持ちを表現することが苦手なことが多く、本当は好意があるのに強引な態度をとってしまうこともあるようです。
自分をコントロールすることが苦手
いじめのきっかけは、ささいなことが原因であることが多いものです。例えば、「見た目が気に入らない」「相手のしぐさや行動が嫌い」というような理不尽なことも含まれます。この『なんとなく気に入らない』という心理は、人間誰しも持ち得る感情ですが、自分を上手にコントロールすることが苦手な子どもは、暴言や暴力で相手を支配しようと、自分の方が立場が上であるということを示したくて、いじめをしてしまうことがあります。
家庭環境に問題があり心をふさいでいる
ささいなことでキレたり、誰かれ構わず暴力を振るったりするような子どもの場合、家庭内で問題を抱えていることがあります。例えば、両親の関係が良くなかったり、親が子どもに対して過干渉あるいは放任主義だったりというケースも。こうした家庭環境に置かれていると、子どもは強い不安とストレスを感じてしまいます。その結果、自分自身の感情を出せずに『いじめ』という方法で、他者を傷つける行為に出てしまうことがあるようです。
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わが子がいじめの加害者になったときの親の対応
自分の子どもがいじめの加害者になっていることが判明したとき、あなたはどのような行動をとりますか?「まさか自分の子どもが・・・」と悲観するだけでなく、冷静に対応することも親の役目です。では、実際にどのような行動をとるべきなのか見ていきましょう。
いじめの内容と理由をきちんと把握する
まず、子どもがどのようないじめをして、被害者の子どもはどうなったのかをできるだけ具体的に知る必要があります。学校の先生にいじめの確認をし、子どもにいじめの理由を聞きましょう。子どもに理由を聞く際のポイントは、「なぜいじめたか」ということ。例えば、「ムカついたから」というだけではなく、「なぜムカついたのか」という一歩踏み込んだ理由を聞きだします。理由を明らかにすることで、その後の対応の仕方を考えることができるのです。
被害者の子どもと親に謝罪すること
子どもがいじめの加害者である事実が分かって一番にすることは、被害者への謝罪です。被害者の家に直接出向き、子どもと一緒に謝罪しましょう。その際に親が率先して頭を下げると、子どもに、自分がしたことが悪いことだということが伝わりやすくなります。また、被害者の気持ちを第一に考えて、定期的に被害者を気遣った電話を掛けることも良いでしょう。誠心誠意、謝罪をすることで、被害者との関係も良い方向に変わることがあります。
いじめが悪いことだと認識させる
子どもがいじめをする理由はささいなことが多いと言いましたが、どのような理由があってもいじめをすることはいけないことだと、子どもに教えなくてはいけません。ただ言い聞かせるだけではなく、子どもに「自分が同じことをされたらどう感じるか」と、相手の立場や気持ちになって考えさせる方法が効果的です。そうして、子ども自身が「悪いことをした」と認識し、反省することで、いじめの再発を防ぐことができるのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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