「イクジイ」「ソフリエ」など、孫の誕生を機に育児に目覚め、積極的に子育てに関わろうとするシニアが増えています。おじいちゃん、おばあちゃんにとって、孫は「かわいくてならない」存在。孫のためなら自分たちにできることはしてあげたい、という気持ちの一方で、孫の面倒が負担に感じたり憂うつな気持ちになったりという部分もあるのが本音のところのようです。祖父母世代の意識と「孫ブルー」についてみていきましょう。
マリッジブルーならぬ「孫ブルー」とは?
マリッジブルーやマタニティブルー。結婚や妊娠はおめでたいことなのに、その出来事に憂うつ感や漠然とした不安感などを覚える場合があることは、よく知られています。最近マスコミで取り上げられ話題にもなった「孫ブルー」。これはどのようなものなのでしょうか。
うれしいはずの孫の誕生、感涙どころか不安に
楽しみでたまらなかった初孫との対面。しかし、いざその日が近づいてくると、心に湧いてくるのは不安や憂うつ感ばかり。孫育てに自分の大切な人生を縛られてしまうのではないか、自分が大切にしてきたキャリアやライフスタイルを諦めることになるのはないか。もちろん孫はかわいい。子育てで大変な娘の力になりたい。けれど、「孫中心」の生活になってしまって、これまで構築してきた「わたし」の人生が、孫によって「おばあちゃん」の人生になってしまうのはつらい。
幼児教育コンサルタントの河村都氏は、ご自身の初孫誕生に際して抱いた葛藤やもんもんとした気持ちを、著書の中で「孫ブルー」と名づけました。
「孫ブルー」になるのはなぜ?河村氏の分析
晩婚化や晩産化によって、70代になってから「おばあちゃん」になり、戸惑いや不安を覚える人は多いのではないか、と河村氏は推測します。孫育てに情熱を感じられる価値観や生き方をもつ人もいる一方で、そのような価値観がもてずに悩む人も少なくないのです。
「ワンオペ育児」に形容されるように「孤育て」の過酷さがクローズアップされる中、期待が高まるのは祖父母世代による子育て支援。それは理解できるし、実際孫や子はかわいい。けれども、これまで培ってきた価値観やライフスタイルを変えて、期待されるような「いいおばあちゃん」になるのは容易でない。自分の人生を孫や子のためでなく自分自身のために生きたい、と強く願う気持ちが、「孫ブルー」を生む大きな理由になっているようです。
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祖父母世代は孫育てをどう思っているのか
「孫ブルー」が話題になったのは2017年のことですが、その数年前からも「孫疲れ」や「孫源病」などの表現で、しばしば孫育てにまつわる祖父母世代の負担増が話題になっています。当事者である祖父母世代は、孫育てについてどのような思いをもっているのでしょうか。
よい関係を保つために一定の距離をおきたい
2015(平成27)年の「第8回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査結果」によると、老後における子や孫とのつきあい方として最も高い支持を得たのは「ときどき会って食事や会話をするのがよい」でした(50・5%)
「たまに会話をする程度でよい」(13・7%)と合わせて65%近くの人が、子どもや孫とは一定の距離をおくのがよいという考え方をもっているようです。第4回までは過半数を占めていた「いつも一緒に生活できるのがよい」の回答は第5回以降減少しており、第8回調査では27・1%と下がっています。
三世代世帯は「いつも一緒がよい」を支持
全体的な傾向としては、お互いの関係を良好に保つために程よい距離感をもつことが望ましいとする考え方が浸透してきているようです。しかし、世帯類型別の回答結果をみると、世帯構成によって回答の傾向が少し異なります。回答者が単身世帯や夫婦のみの世帯の場合には「いつも一緒がよい」が10%前後にとどまるのに対し、夫婦と子どもという世帯では36・0%、三世代世帯では80・4%が「いつも一緒がよい」との回答でした。同居型から近居型や別居型へ、世帯構成にみられる変化は、子育てにまつわる祖父母世代の意識にも影響をおよぼしているようです。
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メンタルコーチとwebライターの兼業をしている40代ワーママです。夫と息子との3人家族。東京生まれ東京育ちの大阪府民です。電車と食べることとヘンテコな踊りと絵本が大好きな、まもなく5歳の息子のお蔭で親として日々成長中です。息子が寝る前に習慣としてつづけてきた絵本の読み聞かせが、もうすぐ通算650冊になります。
Mme_barbon(マダムバルボン)は息子が好きだった絵本『ワニのバルボン』シリーズが由来です。
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