数年前から、待機児童問題は度々ニュースなどで取り上げられてきました。子育て世帯にとって、待機児童問題は気になる事でしょう。そこで今回は、2022年待機児童問題はどうなっているのか?というテーマで、新しく公表されたプランについても解説していきたいと思います。
待機児童問題は2022年どのように変化した?
それでは、待機児童問題が働きたくても受け入れ先が見つからず、復職を断念している保護者が多い中、今年の待機児童問題について見ていきましょう。
保育所等利用定員が増加し、待機児童は減少
2022年4月1日現在では、保育所等利用定員は前年比2万7,481人増加し、304万4,399人となっています。そして待機児童に関しては、前年比2,690人減の2,944人となっており、改善傾向になっていると言えます。なお、待機児童が100人以上減少したのは、西宮市・筑紫野市の2市となりました。
待機児童数が減少した市区町村の状況
NO | 都道府県 | 市区町村 | 対前年減少人数 |
---|---|---|---|
1 | 兵庫県 | 西宮市 | ▲130 |
2 | 福岡県 | 筑紫野市 | ▲106 |
3 | 東京都 | 中央区 | ▲85 |
4 | 千葉県 | 木更津市 | ▲84 |
5 | 東京都 | 小平市 | ▲83 |
6 | 千葉県 | 君津市 | ▲76 |
7 | 沖縄県 | 八重瀬町 | ▲75 |
8 | 東京都 | 三鷹市 | ▲70 |
9 | 沖縄県 | 豊見城市 | ▲70 |
10 | 千葉県 | 印西市 | ▲63 |
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保育所等の状況把握目的で公表される「新子育て安心プラン」
厚生労働省は、2021年~2024年の間に約14万人分の保育の受け皿を確保するため、4か年計画で見込みを取りまとめています。この「新子育て安心プラン」による、保育の受け皿拡大量の見込みは約13万人となっており、2021年の実績では市区町村分で約2.5万人分となりました。さらに、企業主導型保育事業では約0.7万人分拡大しており、2022年4月1日時点での保育の受け皿は、前年比3.2万人増という結果になっています。
待機児童解消のため「保育コンシェルジュ」も活用
待機児童をさらに解消するためには、「保育コンシェルジュ」などの活用が重要です。市区町村において潜在的なニーズも含めて保育の利用意向を把握し、それが正しく反映された受け皿の整備を進めようとしています。2022年の時点で、待機児童問題はやや改善傾向にあるものの、まだまだ問題は残されています。その中で、地域の特性に応じた保育士の確保や取り組みを考え、適切に支援できるよう強化が図られているのです。
待機児童問題解消のための「新子育て安心プラン」とは
次に、待機児童問題解消のための「新子育て安心プラン」とはどのようなものなのかを解説しましょう。「新子育て安心プラン」は、様々な支援のポイントによって構成されています。
地域の特性に応じた支援
待機児童は、日本全体で問題になってはいますが、地域によって保育のニーズはそれなりに差があります。そのため、新子育て安心プランでは、参加する自治体への整備費等の補助率を上げるなどの支援が検討されているのです。また、巡回バスなどによる送迎に対する支援や、保育コンシェルジュによる相談支援の拡充なども盛り込まれています。
魅力向上を通じた保育士の確保
待機児童問題の解消には、現場の受けとなる保育士の確保が必須です。そのため、保育補助者や短時間勤務の保育士の活躍促進、保育士や保育所支援センターの機能強化などが盛り込まれています。特に、現職保育士の就業継続に向けた相談を補助対象に追加したことは大きいと言えるでしょう。
地域ごとのあらゆる子育て資源の活用
例えば、ベビーシッターの利用料助成の非課税化は、令和3年度税制改正で対応されており、育児休業等取得に積極的に取り組む中小企業への助成事業の創設も検討されています。また、幼稚園の空きスペースを活用した預かり保育や小規模保育の導入も推奨されています。
このように、地域ごとに異なる待機児童問題の状況を踏まえた上で、様々な取り組みが盛り込まれているのが「新子育て安心プラン」なのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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