2022年~2023年にかけて、関東を中心に相次いだルフィと名乗るリーダー率いる同一グループが起こした広域強盗事件。ニュースでも大々的に取り上げられたので、ご存知の方も多いでしょう。この事件をきっかけに、闇名簿の注目が集まりました。
闇名簿の存在で、犯人は被害者の個人情報を簡単に入手できたと言われています。この記事では、闇名簿によってどのように犯罪が行われているのか、また私たちが気をつけるべきことなどに関して解説します。
【闇名簿とは】詳細な個人情報の入手ルートとは?
まず、闇名簿とはどのような内容が記載されているのか、詳細な個人情報の入手ルートについてお伝えしましょう。
普通に生活している私たちの個人情報が、なぜ犯人の手に渡るのか気になりますよね。
闇名簿には職業や家族構成まで詳細に書かれている
闇名簿には、氏名や住所・電話番号だけではなく、職業や年齢・家族構成・預金額や性格まで、あらゆる角度からの個人情報が記載されています。
また闇名簿によっては、健康状態や詐欺の被害の有無・タンス預金の有無なども個人情報に含まれているケースがあります。
私たち一般人からすると、とても接点のない他人が手に入れられる情報には思えませんよね。しかし、犯罪グループの手元に渡っている闇名簿には、このように詳細な個人情報が多く集められているのです。
自動音声サービスを利用して情報を集めている
詳細な個人情報の入手ルートとして代表的と言われているのが、アンケートなどを一斉に行うことが出来る「自動音声サービス」です。
自動音声サービスは、主に企業アンケートや世論調査などで利用されるサービスでもあり、予め入力した質問を指定した電話番号に一斉に発信でき、電話がかかってきた人は正式な調査だと思ってしまうと言われています。
このアンケートに回答を入力すると、その情報がそのまま犯罪グループへと流れ、資産を持っている人の情報が一発で分かるというわけなのです。
有名企業や銀行員などが売り込むケースもある
個人情報の入手ルートは、自動音声サービスだけではありません。実は、実際にお客様の個人情報を取り扱っている銀行員や、多くの顧客を抱えている大手企業の人間が、お金のために顧客情報を売り込むケースもあるのです。
百貨店の外商リストや高額納税者などの情報は、信頼性の高い情報として非常に高い報酬で売り買いが行われています。確実な個人情報はすぐに犯罪に活用される場合も多く、すぐに首謀者のもとへ渡ることになるでしょう。
闇名簿の犯罪への活用方法とは?
次に、闇名簿の犯罪への活用方法について見て行きます。上記のような方法で、詳細な個人情報を入手した後に、どのような形でその情報が犯罪に活用されていくのでしょうか?
指示などのやり取りはテレグラムを使用
闇名簿を活用して犯罪を行う際には、連絡手段として一定時間が過ぎるとやり取りの証拠が消える「テレグラム」という連絡ツールを使用していることが多いと言われています。
テレグラムには、被害者の個人情報だけではなく家の全体の写真や、間取りや侵入ルートなどが細かく書かれており、どこに金庫があるかなど正確な情報を頼りに犯罪が行われます。現場の写真と詳細な個人情報を合わせながら綿密に下見を重ねて、リスクを徹底的に減らした上で実行されるのです。
複数のグループで共有し役割分担をしている
手に入れた詳細な個人情報が記載されている闇名簿をもとに、指示役を介して複数の実行グループに共有されます。現場で実際に実行出来そうな人物に指示役が声をかけ、その中で実行できる人物が現場に行くという形です。
そのため、万が一実行グループが逮捕されたとしても、その現場には行っていない他のグループにも同じ情報は共有されており、指示役まで簡単にたどり着けないような役割分担になっていると言えます。
実行役のもとには一部の被害者情報しかない
実行役が現場で逮捕されると、当然その犯人が持っている携帯から被害者を含む数人の個人情報が出てきます。しかし、実行犯の手元にあるのは犯人グループが闇名簿で集めた個人情報のほんの一部と言え、首謀者や指示役を逮捕しない限り被害者の全体像は分からないようになっていると言えます。
全ての情報をグループ全体で細かく共有することで、末端の実行グループが捕まっても、簡単には首謀者までたどり着かないような使い方がなされているのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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