ニュース等で話題となった、通知表を廃止した神奈川県の公立小学校の存在をご存知でしょうか?当たり前のように学期末にもらっていた通知表がなくなってしまうと、子どもたちの様子や評価がわからなくて困らないのか、親としては気になりますね。
神奈川県茅ケ崎市立香川小学校が通知表を2020年度から廃止して2年。先生たちの考えや子どもたちの反応はどのようなものだったのでしょうか。
公立小学校が通知表を廃止した理由とは
香川小学校が通知表について検討しはじめたのはコロナ禍前。偶然にもコロナで一斉休校になったタイミングから通知表が廃止されました。なぜ、通知表の是非について提案され、2年間の話し合いの末に廃止が決定されたのでしょうか。
そもそも通知表は廃止できるのか?
どの学校でも当たり前のようにある「通知表」。実は学校には作成の義務がありません。発行するかどうかは学校単位で決めることができます。
そんな通知表の歴史は古く、明治時代に始まりました。そのころは小学校でも成績が悪かった場合は落第することもあったそうで、その後も評価方法や記載内容が変化しながら現在まで続いています。
最近では、相対評価ではなく絶対評価で成績を決める、大きな改革もありました。時代に合わせて進化している通知表ですが、作成しない学校は少数です。
ちなみに、学校の先生たちは通知表とは別に「指導要録」という出欠や学習の状況を記す書類も作っています。これは学校教育法施行規則によって決められ、必ず作成しなくてはいけない書類であり、保護者や生徒が目にするものではありません。進学時にはその写しが進学先の学校へ送られます。
できるかできないかを数値化することへの疑問
香川小学校では、着任したての校長先生が通知表への疑問を先生たちに話したところから、通知表の是非について話し合いが始まったそうです。初めから廃止をするために提示したわけでなく、校長先生は通知表の成績で、子どもたちが一喜一憂することに意味がないのではないかと疑問を持っていたためです。
すると、その他の先生からも通知表の問題点が次々に上がりました。子どもたちの中には勉強が得意な子も苦手な子もいます。その中で成績を数値化し、優劣をつけることに抵抗感がある先生もいたのです。
しかし、通知表の必要性を話す先生もいましたし、廃止ではなく成績の付け方を変えることを提案した先生もいました。
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通知表廃止は保護者も生徒も賛否両論
先生たちの何度も重ねられた話し合いの結果、廃止が決定した通知表。ちょうどコロナ禍となった2020年4月、実際に通知表がなくなったと聞かされた子どもたちや保護者からはどのような反応がみられたのでしょうか。
通知表を楽しみにしていたという声も
やはり、子どもからも保護者からも否定的な声も上がったようです。分かりやすく数値化されている通知表は、自分の日頃のがんばりを先生が見ていてくれることが分かり、モチベーションアップにつなげている子どもも少なくありません。
また、保護者からも子どもが学校で過ごしている様子が分かる通知表がないのは残念という声も。さらに、小学校で評価を気にせずに過ごせても、どうせ中学生以上になれば評価から逃れられないという理由から、通知表廃止へ疑問を呈する保護者もいました。
数値化できない日常を評価してもらえる
勉強の様子は普段のテストで十分わかるので通知表は必要ないという保護者もいましたし、なにより子どもの頑張りが数字ではなく担任のコメントとして得られるのがうれしいといった好意的な意見もありました。これは、香川小学校の先生たちが日常的に子どもたちを認め、褒めていることを保護者に伝えるように努めているためです。先生たちの試行錯誤の末、通知表の廃止について保護者からは多数の激励をもらえたそうです。
小学生の間は勉強も大切ですが、数字では表すことができない学校生活での子どもの成長や日常の様子も同じように大切ですね。
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元IT系企業勤務。現在はフリーランスのデザイナーである夫の会社でWebサイトの構築、運営やライティングをしています。ゆる受験で私立中高一貫校に通う長女、ガチお受験で私立小学校に通う次女、そして幼稚園に入園する三女の三姉妹のお母さんもしています。
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