小学校というと、鉄筋コンクリートで造られた建物が一般的ですが、2015年の建築基準法改正に伴って、木造の小学校が建設され始めています。しかし、木造というと燃えやすいというイメージがあり、木造の小学校で大丈夫なのかと不安に思う保護者も多いことでしょう。
今回は、木造の小学校にスポットを当てて、メリットなども踏まえながら解説していきます。
木造の小学校で考えられるメリットとは?
それではまず、木造の小学校で得られるメリットをご紹介します。どのような素材でも、必ずメリット・デメリットが存在しますが、木造ならではのメリットを知る事で、より関心と理解が深まることでしょう。
木造にする事で森が健康になる
現在、戦後に植林された樹木が成長し、建築用材として使用できる時期に入っています。しかし、鉄筋コンクリート造や鉄骨造が主流になっているため、木材の利用が低迷しているのです。
そのような中で、木造による木材の利用が促進されると、良い循環サイクルが構築されて森が健康になり、地球温暖化の防止や土砂災害の予防にも役立ちます。
地域経済の活性化に繋がる
木材は、その土地の地域材を使用する事が多いため、地元の業者が密接に関わります。この事から、地域の林業生産や製材加工等の木材産業が活性化し、雇用面でも潤いが出るという効果が期待できるのです。
また、建築に関わる業者同士のコミュニケーションも多くなり、地域全体が活性するという重要な役割も担う事になります。
メンテナンスを行う事で木造校舎も長寿命
木造の減価償却資産の耐用年数は22年と言われていますが、そもそも木材は生きています。そのため、しっかりメンテナンスを行う事で、築80年を超える現役の木造校舎も実際に存在しています。
劣化するのは鉄筋コンクリートでも同じで、どれだけ定期的にメンテナンスを行うかが、校舎の寿命に直接繋がる部分だと言えます。適度に手を加える事で、自然環境に優しい建物として活躍してくれるのです。
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木造の小学校を建てる際の注意点とは?
木造の小学校を建てるためには、建てる場所や必要条件などがあります。ここでは、それらの点について詳しく説明していきます。
防災地域以外の地域に建てることが出来る
学校を建てるには、建築を計画する土地の区域指定により、建物の階数や面積に制限が設けられています。
つまり、1時間準耐火構造の3階建て校舎は、防火地域には建てられない決まりになっているのです。準防火地域の場合は、延べ面積1,500㎡以下まで、それ以外の地域では「壁等」による3,000㎡区画を設ける事で、面積の制限をなくして建てる事が出来ます。
※防火地域…都市中心部や幹線道路沿いなどの指定エリア。このエリアの建物は耐火性のある材質の使用が必要
※準防火地域…主に防火地域の周囲のエリア
※1時間準耐火構造…壁、柱、床などが耐火構造の建物。火災後、1時間は倒壊や延焼しない
木造校舎周囲に避難と消火活動のための通路を設ける
1時間準耐火構造の木造3階建ての校舎は、校舎の周囲(居室に面する部分)に必ず避難や消火活動のための通路を設ける決まりになっています。その場合、幅員3m以上の通路を設け、道路まで通じるように設計する必要があるのです。
周囲からの延焼に強く上階に燃え広がりにくい屋根・外壁
学校を建てる際には、屋根・外壁などの建物全体を燃えにくい材料で覆う事によって、建物周辺からの火災が建物内に燃え抜けて侵入しないようにしなければなりません。
教室などの室内で火災が発生した場合は、窓から外部に出て上階へ燃え広がらないようにするため、窓の開口部まわりの延焼防止装置の設置が必要になります。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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