日本では、あまり聞き慣れない「ドルトンプラン教育」。約100年前にアメリカで始められた「自主学習」に重点を置いた教育法です。今回は、子どもの自主性を伸ばすことの出来るドルトンプラン教育について、詳しく解説します。
ドルトンプラン教育のメリット・デメリット
それでは、ドルトンプラン教育とはどのようなものなのか、メリット・デメリットについてご紹介していきましょう。特に、ドルトンプラン教育に興味のある保護者の方は必見ですよ。
ドルトンプラン教育の背景や原理とは
ドルトンプラン教育は、教育家の「ヘレン・パーカスト」が創案した教育メソッドです。年齢も学年も違う子どもが集まる環境で、それぞれの子どもの能力に応じた学習計画を作成する事を目的とし、教師の立場も「指導者」ではなく「助言者」として位置付けられています。
また、ドルトンプラン教育には、「自由」と「協同」の2つの原理があります。自由の原理は、子どもに十分な学習時間を与える事で、じっくりと物事に取り組む姿勢を養います。そして協同の原理では、集団の中の1人としての責任を持ち、価値観の違いや意見の相違を理解する力を養う事が目的とされているのです。
ドルトンプラン教育のメリットとは
ドルトンプラン教育の最大のメリットとしては、子どもの個性を伸ばせるという点です。各自が興味を持った分野を、自分のペースで学ぶことが可能なので、より子どもの個性を伸ばせます。
また、子どもの自立心や責任感を育む事が出来るのも、メリットだと言えるでしょう。与えられたものではなく、自分で学びたい事を選択する力や、集団の中での責任感や自立心を育む事も期待できます。
ドルトンプラン教育のデメリットとは
ドルトンプラン教育のデメリットとしては、やはり教師のスキルが問われるという点です。ドルトンプラン教育では、教師は指導者ではなく助言者ですので、子どもの資質を見抜く力が必要とされます。その子どもに合ったアドバイスが出来てこそ、ドルトンプラン教育が成り立つのです。
また、もう1つのデメリットとしては、現在の日本ではドルトンプラン教育を学べる所が少ないという事です。そのため、学べるチャンスの可能性自体が狭まるいうことになります。
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ドルトンプラン教育の3本の柱とは
ドルトンプラン教育には、子どもそれぞれの個性を活かすために、3本の柱を軸に教育を進めることとなっています。その詳細を、以下にお伝えします。
ドルトンプラン教育の柱その1「ハウス」
まず1つ目のドルトンプラン教育の柱は、「ハウス」です。
ハウスとは、通常の教育法で言う所の「教室」を意味しており、ドルトンプラン教育では学年や年齢などに縛られず、みんなが一緒に学ぶ「ハウス」という環境で学習しているのです。
ハウス内では、教師は親のような振る舞いをしており、子どもたちを見守りながら学習を進めていきます。小学校3年生までは、芸術などの授業を受け、4年生からは教科担任によって他の教科も学ぶ事になります。
ドルトンプラン教育の柱その2「アサイメント」
ドルトンプラン教育の2つ目の柱は、「アサイメント」です。
アサイメントとは、子どもに課題を与えつつ、意欲や集中力、考える力を養うようにデザインする事を指しています。ドルトンプラン教育では、子どもたちそれぞれに応じた活動内容があり、それに沿って1日のスケジュールが決まっています。
この中で、何をいつまでに提出するという「期限」もアサイメントを通して身につけるのです。
ドルトンプラン教育の柱その3「ラボラトリー」
ドルトンプラン教育の3つ目の柱は、「ラボラトリー」です。
ラボラトリーは、実験室と呼ばれる空間で、子どもたちが専門性を高めたり、集中して話し合いを行える特別な場所となっています。ハウスアドバイザーと呼ばれる教師だけではなく、専門分野の教師が子どもたちをサポートしていきます。
これまでの一般的な知識から、さらに高いレベルで深く学ぶ事ができるのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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