近年の日本では、3組に1組の夫婦が離婚しているといわれています。それだけに子連れで再婚するという道を選ぶ方もめずらしくはありません。そして再婚した新しい配偶者との間に、新しい命が生まれることもあるでしょう。この赤ちゃんを、セメントベビーと呼びます。ここでは、セメントベビーの詳細について、ご紹介します。
セメントベビーとはどういう存在なの?
セメントベビーとは、連れ子とともに再婚したカップルの間に生まれた赤ちゃんのことを言います。再婚してもつ新しい家族のことを、「ステップファミリー」と呼ぶのを聞いたことがある方もいるでしょう。つまりステップファミリーの両親から血のつながった子どもとして、セメントベビーは誕生します。
セメントベビーは家族の絆を強くしてくれる
セメントベビーは、再婚同士のカップルの間に生まれてくる赤ちゃんのことです。セメントベビーが生まれると、両親はもちろんのこと、お互いの連れ子も赤ちゃんに目を向けるようになります。また今までの環境が新しい環境へと変わることで、それぞれの家族のメンバーにさまざまな発見や気づきを与えてくれることにもつながるのです。英語でセメントとは、「愛情・家族の絆を強くする」という意味合いがあります。この言葉どおり家族の結束をしっかりと固めてくれることでしょう。
ステップファミリーの子どもとセメントベビーの違い
ステップファミリーは、お互いが子連れで再婚した家族のことですから、すべての家族のメンバーと血のつながりがありません。たとえば、女性がある男性と再婚したとすると、その女性と男性の連れ子に血縁関係はないことになります。しかし、再婚同士の夫婦の間に生まれたセメントベビーは、再婚同士の両親2人と血がつながっていることになります。
セメントちゃんと愛嬌を込めた呼び名
英語では前向きな意味がある「セメント」という言葉ですが、日本語でのセメントというと、冷たい・硬いなどのマイナスのイメージがつきものです。だからこそこのイメージを払拭させようと、セメントベビーのことを「セメントちゃん」と呼ぶ人もいます。このような愛称なら、否定的な感情も湧きづらくなりますよね。
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セメントベビーをもつことのメリット
ステップファミリーは、すべてのメンバーが血縁同士ではないにもかかわらずに家族となるため、時には複雑な問題を抱えてしまうこともあるでしょう。しかしステップファミリーの隙間を埋めるかのように誕生するセメントベビーは、家族の潤滑油となるメリットもあります。
新しい家族の歴史を作る
ステップファミリーでも、仲良く暮らしている方は世の中に数多くいます。しかし再婚前の連れ子と共有できた体験が少ないため、「この子ともっと思い出を作りたかったな」とふと感じてしまう親もいるようです。ところがセメントベビーが誕生すると、セメントベビーを通して連れ子とも同じ時間を過ごしたり、話し合ったりという時間が増えます。そうすることで、ステップファミリーという枠を抜け出した、新しい家族の歴史を味わえるようになるのです。
連れ子がお兄ちゃんお姉ちゃんになる
もしセメントベビーが誕生しなかったら、お互いの夫婦の連れ子もお兄ちゃんやお姉ちゃんになることは不可能です。しかしセメントベビーが与えられることで、面倒を見たり、可愛がったりする相手ができます。そのことで、自分の役割を理解し、人への責任感が生まれたり、情緒が育ちやすくなることも期待できるでしょう。
家族は血のつながりがすべてではないことを学べる
家族とは、すべてのメンバーと血がつながっているという先入観があるものです。しかしたとえ血がつながっていなくても、お互いに助け合ったり、愛し合ったりすることは十分できます。ステップファミリーは、途中から家族になるため最初は戸惑うこともあるかもしれませんが、セメントベビーが誕生することで、「家族は血のつながりではなく、お互いが創っていけるものだ」ということも学べるのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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