皆さまは、非認知能力という言葉をご存じですか?日常生活を送る上では、あまり耳になじみがないかもしれません。しかし、子育て中の方やこれから子育てについてお考えの方には、ぜひとも知っておいてほしいのが、『非認知能力』です。今回は、非認知能力について、解説します。
そもそも非認知能力ってなに?
非認知能力と簡単にいっても、それが一体どういうものなのでしょうか?この項目では、非認知能力とはどんなものを指すのか、そしてそれが子どもにどのような影響を与えるのかをご紹介します。
非認知能力の詳細を知りたい
非認知能力とは、簡単にいえば心の土台のことをいいます。自尊心や自己肯定感、自立心、自制心などの「自分に関する力」と、協調性や思いやり、道徳心などの「人と関わる力」をまとめたものが、非認知能力と呼ばれています。これらの能力を幼少期に培うことにより、将来社会性が身につくとされています。近年では知能指数(IQ)よりも、教育的に重視されている傾向にあり、あらゆる教育論でも話題にあがっています。
非認知能力は、子どもの将来に大きく関わってくる
学力は他の子どもと比較をしやすいだけに、時折自分の教育方針が正しいのかと不安になることがあるかもしれません。しかし、子育ての中で最近重要視されているのは、学力よりも非認知能力の向上にあるといわれています。なぜなら、非認知能力は個人の心の基盤となるものを指し、この能力を高めることによって、学歴や仕事の成功につながるであろうことが注目されているからです。忍耐力や社交性を兼ね備えた人間が社会的地位を得やすいことは、想像できますよね。非認知能力が高い子どもは、将来に大きな期待を持てるといっても過言ではないでしょう。
非認知能力はどのように役に立つ?
非認知能力を培うことにより、社会性が身につき、そこに知的能力が加わることにより、さらなる成功をもたらす鍵となります。例えば、小学校の授業でいうと、問題を解くまでに必要になる力が「知的能力」となります。しかし、問題一つを解くまでに必要になってくる忍耐力や、理解をするまで友達と教え合うというような行為には「非認知能力」が必要となってきます。つまり、知的能力では補いきれない部分を、非認知能力によってカバーできるということになるのです。
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非認知能力と性格には関連性があるの?
社交性や忍耐力が高いというと、一見すると完璧な人間のように感じられるかもしれません。しかし、非認知能力は子どもがそれぞれ持つ性格や特徴とも密接に関わってきます。ここでは、性格と非認知能力がどう関わってくるかということをご説明します。
生まれ持った性格は尊重しよう
非認知能力を高めることは非常に重要ですが、子どもが持つ個性や性格を曲げてしまうのは正しい教育とはいえません。人間にはそれぞれ、その人なりの長所や短所がありますよね。だからこそ、非認知能力を培う中でも、子どもの長所と短所をよく把握した上で、無理のない教育を心掛けるとよいでしょう。無理なく伸び伸びと育てていくことも、非認知能力を高める上では大切な要素です。小さな子どもだからこそ、時にワガママをいい心配をすることもあるかもしれませんが、まずは子どもの個性を大切にしていきましょう。
非認知能力は性格に合った伸ばし方がある
誰もがそれぞれ違った性格を持っているように、非認知能力にもさまざまな伸ばし方があります。例えば、消極的な子どもには、人前でなにかを発表する勇気を身につけさせ、好戦的な子どもには、怒りを抑えるための忍耐力を身につけさせるなど方法は子どもの数だけあるのです。だからこそ、子どもの性格を十分に理解した上で、その子にあった方法を導き出してあげることが最適です。勉強は個人の能力に見合った伸ばし方がありますが、それは非認知能力も同様です。非認知能力の向上について前向きにお考えの方は、まずは子どもの個性をよく把握してあげるようにしてみてはいかがでしょうか?
非認知能力はいつから伸ばし始めるべき?
非認知能力を伸ばすのは、小学校からでも遅くはありません。しかし、早ければ早いほど、伸びしろが期待できるのも事実です。非認知能力は「雪だるま式」に大きくなっていくという検証がされています。つまり、ある一定の年齢までに大きな雪だるまを作るためには、できる限り早い段階から育てていくことが必要であるということなのです。幼少期のうちに非認知能力を鍛えた子どもは、小学校に上がった段階で勉強の壁にぶつかった時に忍耐力が高められているため、問題を解くまで必死に向き合うことができるといわれています。そうして問題が解けた成功体験を重ねることにより、さらに非認知能力という雪だるまを大きくしていくことがかなうのです。小さい頃に芽生えた子どもの性格を大切にしながら、できるだけ早いうちから教育を始めていきましょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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