子どもはさまざまなことを経験しながら成長し、その中で自信をつけ、自分を認める自己肯定感を育んで行きます。しかし、失敗が続いたり、周りの人から怒られたりすると、「自分はダメな子なんだ」と感じ、自己肯定感が低くなってしまうこともあるでしょう。
また、子どもの自己肯定感を上げるには、親の関わり方も重要になります。ここでは、子どもと一緒にできるエクササイズである「スリーグッドシングス」についてご紹介します。
スリーグッドシングスについて知りたい
スリーグッドシングスとは、アメリカの心理学者・マーティン・セリグマンが唱えた方法です。数分程度の時間しか使わないにも関わらず、子どもの自己肯定感を高めるために大きな効果があると言われています。
スリーグッドシングスはいつ行う?
スリーグッドシングスは1日が終わり、寝る前に行います。なぜなら、夜はイヤなことを思い出しやすい時間帯だからです。
そのため、嫌な気持ちを処理しないままでいると翌日まで引きずってしまうことも多いと言われています。それを防ぐには、寝る前にイヤな感情を整理しておくことが効果的なのです。
スリーグッドシングスの意味とは
スリーグッドシングスは、直訳すると「3つの良いこと」という意味になります。スリーグッドシングスを行う時は、具体的に良かったことや嬉しかったこと、幸せを感じたことなどのポジティブな感情を扱います。
スリーグッドシングスの表現の仕方について
スリーグッドシングスの基本的な方法は、寝る前に1日の中で味わった良いことを、紙に3つ書き出すことを行います。
つまり、自分の気持ちを具体的に表現する点を大切にするのです。しかし、紙に書き出すことが難しかったり大変だったりした場合は、嬉しいと感じたことを言葉で伝えるという方法を取っても構いません。
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スリーグッドシングスの期待される効果
セリグマンはスリーグッドシングスによって、実際に人の自己肯定感が向上したという研究も発表しています。その内容とは、1週間スリーグッドシングスを行った場合、幸福度が増えるだけではなく、抑うつ度が低下し、その効果は6カ月後も持続したという結果を示したのです。
このようなスリーグッドシングスからもたらされる効果を、具体的に見て行きましょう。
夜の間に嫌な気持ちを処理できる
前に少し述べましたが、夜はイヤなことを思い出しやすい時間帯です。そのため、その気持ちのまま眠りにつくと、次の日までイライラやモヤモヤした気持ちが消えにくく、持ち続けてしまう可能性があります。
しかし、寝る前にスリーグッドシングスを行うことで嫌な気持ちが処理されて、すっきりとした気持ちで朝を迎えることができるのです。また、ポジティブな言葉かけを自分に行うことで、心の成長を促すので、結果的に高い自己肯定感を持つことにもつながります。
良いことにフォーカスするクセが付く
不思議なもので、私たちの脳は同じことを繰り返していると、特定の方向に進もうとするクセが付くと言われています。つまり、スリーグッドシングスを繰り返すことで、自然に脳が良いことを探すようになり、良いことばかりがフォーカスされ、悪いことは目につきにくくなる傾向に。
いつも良いことを感じることができれば、嬉しい気持ちで溢れるようになり、先のことにも期待感を持てるようになります。また、心が安定するので、自己肯定感も高まりやすくなるでしょう。
自分自身を客観的に捉えられるようになる
嫌な気持ちになったり、イライラしたりするときは、主観的になっていることが多いと言われています。こういう時は自分の感情のみにスポットを当てがちなので、自分がどのような考えや態度、行動をしているのかを把握できていない場合が少なくありません。
しかし、スリーグッドシングスを行うと、自分が何を思っているか、どのように振舞っているのかを第三者的に理解することが可能になります。このように、自分自身を深く理解することにより、冷静に自分の気持ちをコントロールしやすくなるのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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