学校司書に求められるもの
学校司書の仕事は、児童生徒、教員とのかかわりを抜きにして考えることができません。とくに子どもたちは、学校司書を「図書室の先生」と考えています。実際のところ、学校司書は専門的な知識と経験を持った事務職員なのですが、子どもたちにとってはやはり「先生」です。
厳しい現状のなか、学校司書に求められる資質とはどのようなものでしょうか。
AL教育との親和性
文部科学省が、学校図書館の重要性を認めた背景には、AL教育の推進があります。AL教育とは、アクティブラーニングと呼ばれる学習方法を用いた教育です。従来おこなわれてきた、教師から児童生徒への一方的な講義形式の学びとは異なり、児童生徒が自主的に学ぶ意欲を高め、積極的に学習をおこなえるよう促す点が特徴です。
自分の頭で考え、他者と意見を交換し、学ぶ過程には、自主的な興味の探求や、調べ学習といった要素が欠かせません。書籍を用いた系統だった調べ学習には、学校司書のリファレンス能力や適切な指導が必要になります。アクティブラーニングには、ディベートやダイアローグ(対話)も活用されるため、思考力、コミュニケーション力を養う読書推進活動も重要です。学校司書には、こうした学校教育の方向性を理解した働き方が求められるでしょう。
居場所としての図書室運営
学校図書室が活発な学びの場となることは、歓迎すべきことです。しかし、図書室には昔から「大きな声は出さない」「静かに利用する」という、個人の読書や調べものの邪魔にならないような決まりがあります。
図書室は、児童生徒が心を落ち着け、静かに過ごす場です。朝の教室、長い休み時間に、教室に居場所が見つけられない子もいます。学校司書が常駐し、学校が開いている間はいつでも出入りできる図書室があれば、救われる子がたくさんいるでしょう。
不登校気味の子どもたちが、保健室登校をすすめられるように、図書室登校ができれば、学びの機会もある程度担保されるのではないでしょうか。学校司書には、教員と同様に、子どもの健やかな発達と学びに対する視点を持つことが期待されます。
おわりに
学校で働く学校司書は、期待される職種ではあるものの、現状の雇用環境は不安定な側面が大きく、厳しい状況にあります。しかしながら、フルタイムで就業することが難しい方にとっては、多様な働き方を選べるというメリットがあります。図書館業務に興味があり、子どもとかかわることが好きな方にとっては、魅力的な職業だといえるでしょう。
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