スキルがないと拡張家族ではいられない?
仕事、家事、育児、介護、生活のすべてをシェアする拡張家族ですが、得意なことやスキルを持っていなければ拡張家族として共同生活することはできないのでしょうか。ここからは、拡張家族として暮らしていくために必要なことについて考えていきましょう。
できる、できないは人それぞれ違う
共同生活を送る上で、毎日自分の役割を果たしている人もいれば、何もできていない人もいるという状況になった場合、不満は出ないのか疑問ですよね。しかし、例えば家族で考えてみると、兄は頭がよく要領も良いのに、弟は要領が悪いということもありますよね。兄弟間でできが良い悪いということがあるように、拡張家族でもそれぞれできることやできないことは違いますし、怠け者の人だっています。大切なのは「できる・できない」ではなく、お互いに対話して分かち合うことで、シェア=ギブ・アンド・テークではないのです。
血のつながりだけが家族ではない
家族の定義は人それぞれ違うものですが、血縁関係がなければ家族ではないなどという考えは拡張家族にはありません。「私たちは家族なんだ」とそれぞれが意識することで、それはもう家族なのです。たとえ血がつながっていなくとも、いとしいと思う感情や他人を思いやり何かをしてあげたいと思う気持ちは芽生えます。このような気持ちで他人に接することができることで、自分の心が拡張していくことを感じられ、家族としての在り方を見直すことができる拡張家族こそ、本当の家族なのかもしれませんね。
拡張家族という新しいコミュニティー
昔は地域で子どもを育てるという文化があったように、拡張家族ではみんなで生活をシェアするということが求められています。ものがあふれ個別化が進む現代では、みんなで利用することに幸せを感じるということはあまりないことかもしれません。しかし、自分にメリットがなければ動かないという人が多い時代だからこそ、拡張家族のような他人に対してやさしくなれる人が集まる場所が必要なのでしょう。家族だけではないつながりは、家族を超えたつながりになっていくのです。
おわりに
それぞれのスキルを生かし生活をシェアする拡張家族は、「家族」という枠組みをより良いものにしたいという人たちの集まりです。シュアすることで個々の負担が減るのでワンオペ育児に陥ることもなく、育児の悩みなども回避することができるのではないでしょうか。私たちも、今一度家族の在り方を考え直すときなのかもしれません。さまざまな家族の形があることを頭に入れ、自分の生活がより良くなるための選択をしていけると良いですね。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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