政府統計によると離婚してから1年以内に再婚しているのは全体の約13%というデータが示されており、高い数値になっていると言えます。離婚したら早く新しい夫と人生をスタートさせたいものですよね。また〇月〇日に入籍したいと決めている方もいるのではないでしょうか?しかし残念ながら女性には「再婚禁止期間」があります。ここでは再婚禁止期間とは何か、再婚禁止期間が除外されるケースや今後改正されていくのかについてご紹介します。
再婚禁止期間とは?破ったらどうなる?
再婚禁止期間とは、離婚してから一定の期間を超えないと、法律上で再婚が認められないという制度です。再婚禁止期間については、民法第773条に記載されています。以下に再婚禁止期間はどのぐらいか、再婚禁止期間中に再婚したら問題が起こるのかを見ていきましょう。
再婚禁止期間は100日となっている
民法733条1項には「女は、前婚の解消又は取消しの日から起算して百日を経過した後でなければ、再婚をすることができない。」とされています。つまり女性は離婚してから100日間は再婚ができません。100日の計算は離婚届けを出したその日からになります。たとえば2020年9月1日に離婚した場合は、12月9日までは再婚できず、12月10日以降に婚姻届を出せるのです。
再婚禁止期間が100日の理由は?
なぜ再婚禁止期間が100日なのかというと、「子どもの父親を特定するため」です。民法では、離婚してから300日以内に生まれた場合前の夫の子どもとなります。再婚して200日以上経ったあとに生まれた場合は現夫の子としています。
もし仮に離婚後30日後に再婚ができたとして200日後に子どもが生まれた場合、200日以降なので現夫の子といってもいいでしょう。しかし離婚して230日後に生まれた子どもでもあるので、前夫の子としても認められます。このような重複をなくすため、100日間の再婚禁止期間が設けられました。
・現夫と結婚してから200日経過後に生んだ子どもは、現在の夫の子どもとされる
再婚禁止期間中に再婚するとどうなるの?
再婚禁止期間に再婚しても、罰則や罰金はありません。ただ再婚したあとでも離婚してから300日以上経っていないうちに生まれた子どもは、どちらの夫の子どもであるか裁判所が定めることになります。
そのときもし裁判所が子どもを「元夫の子ども」だと認めると、親権を争うことになるかもしれません。さらに父親には子どもと面会する権利があるので、離婚後も元夫に会わなくいけなくなり、新しい生活に支障が生じるおそれがあります。
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再婚禁止期間が除外されるケースとは
再婚禁止期間が適用されるのは、子どもがどちらの夫の子であるかというトラブルを防ぐためです。つまり子どもの父親を特定できる状態や子どもがいない場合は、禁止期間は不要です。次に再婚禁止期間が除外されるケースを確認しましょう。
元夫の子どもである可能性が低い場合
離婚したときに妊娠していない場合、再婚禁止期間は除外されます。気をつけたいのは、妊娠していないことが証明できる診断書を医師からもらっておくことが大切です。診断書がないと裁判所では判断してもらえません。念のため離婚後に一度、産婦人科を受診した方が良いでしょう。
その他にも離婚前に元夫と別居生活が長く続いていたという状況や、夫が行方不明で3年以上生死がわからないため離婚した場合には、妊娠の可能性が非常に低いので再婚禁止期間は適用されません。
離婚した元夫と再婚する場合
ケンカなどで衝動的に離婚してしまった場合、離婚を後悔する夫婦は多いものです。独り身になってからパートナーについて落ち着いて考えると、また関係をやり直すことができるのではないかと思うこともあるでしょう。
再婚禁止期間は子どもの親を特定するために設けられているので、同一人物との結婚は適用の対象外です。夫婦がお互いに「最良のパートナーだった」と気づいたときには、何度でも、すぐに再婚できます。
身体的な理由があるときも当てはまる
例えば高齢の女性や子宮を摘出したなど、身体的な理由で妊娠をしていない、妊娠の可能性が低い場合は、再婚禁止期間は適用されません。
高齢の女性は「45歳以上」と決められています。45歳以上になると、自然に妊娠する確率は1%とされており、妊娠の可能性が低いと判断されるためです。また子宮を全摘出していたり、妊娠は不可能だと診断されたりしている場合も、再婚禁止期間の対象外です。医師による診断書をもっていれば、すぐにでも再婚できます。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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