あなたは、今の働き方に満足していますか?ワーキングマザーの多くは、家庭と仕事を上手に両立していると思います。しかし、仕事において課長や部長、専務などの管理職に就いている方は案外少ないのではないでしょうか?今回は、女性管理職が少ない原因を掘り下げながら、女性の働き方について考えていきましょう。
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日本における女性管理職の現状とは?
日本では、女性が家事や育児、介護など家庭との両立を強いられることが多いため、管理職になりたいと思っている女性はそんなに多くはないと言えます。まずは、日本における女性管理職の割合と、女性管理職が少ない理由について詳しく見ていきましょう。
女性管理職の割合はわずか1割
2017年の企業における課長職以上に就く女性管理職比率は10・9%であることが厚生労働省の調査によって発表されています。1989年は女性管理職比率が2・0%だったので、そこから考えると年々少しずつ増えてきてはいるものの、欧米やヨーロッパでは女性管理職比率が30〜40%と言われている中、世界的に見ても日本の女性管理職比率の数値は低いことが分かります。つまり、日本は女性が活躍する環境が十分に整っていないということかもしれません。
日本は女性正社員の就業率が低い
女性管理職が少ない原因としてまず挙げられるのが、女性の就業率です。2018年における15歳〜64歳女性の就業率は69・6%だと総務省によって発表されています。約7割と聞くと意外と多いと思うかもしれませんが、このうちの57・5%がパートなど非正規社員で占められているのです。もちろん正社員の就業率も増えてはいますが、非正規社員が多いのが現状です。非正規社員の場合、昇進機会は少なく賃金も低いことが多いため、女性が管理職を目指すことは難しいと言えるでしょう。
原因は昇進制度や保険制度にも
女性の就業率が低いことに加え、日本では年功序列の昇進制度の企業が多いです。女性は結婚出産を機に退職することも多いため、勤続年数が短くなってしまうのです。育児休暇を利用しても待機児童問題で子どもを預けられず復帰ができないことも少なくなくありません。また、専業主婦を持つ世帯を優遇する税金や社会保険の制度があることから、夫から扶養内で働いてほしいと言われる場合も多く、女性が管理職を目指しにくい環境になっているのです。
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女性管理職が増えることによるメリットとは?
現在の日本は少子高齢化が問題となっており、日本国内の生産年齢人口はどんどん減少していくと推測されています。このままいくと、必然的に労働力や経済成長に影響を与えてしまうため、女性の活躍が必要不可欠とされていますが、女性が管理職に就くことで得られるメリットとは何でしょうか?
仕事に影響力を与えることができる
企業や組織で同じ価値観を持った社員が集まっていたら、偏った結果しか生まれません。女性管理職を登用し、職場での発言機会が増え、意思決定ができるようになることで、今までとは違った意見が出ることで柔軟性が生まれ、仕事に直接影響力を与えることができます。また、小売業や女性向け商品の開発など、職業によっては女性が管理職の方が有利に働くこともあります。多様化するニーズに対応するためには、女性の活躍が不可欠だと言えるでしょう。
女性ならではのコミュニケーションができる
個人差はありますが、コミュニケーション能力においては、一般的に男性より女性の方が得意とされており、その能力を生かすことで仕事でのチームワークや社内の人間関係を良好に保つことができるようになります。女性社員の中には、体調不良などデリケートな問題を男性上司に相談しにくいということもよく耳にしますが、社内に女性管理職がいることで同性の部下が相談しやすくなることも大きなメリットです。相談しやすい雰囲気があることで、働きやすい職場へと変えることができるのです。
企業の社会的評価を上げることができる
現在、「女性管理職はつくらない」という企業も少なくはありませんが、そのような企業の繁栄は見込めません。なぜなら、性別や学歴だけで判断するような企業に就職したがる人が少ないからです。女性管理職を登用し「こんな取り組みをしている」ということを世間に公表している企業は、イメージも良く、優秀な人材も集まりやすくなります。企業の古い習慣を改め、企業イメージと知名度を向上させるためには、女性管理職はなくてはならない存在なのです。
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女性管理職を増やすために取り組むべきこととは?
政府は、2020年までに女性の管理職の割合を30%に増やすことを目標としています。この目標のもと、企業側の取り組みや働く女性自身の意識を変えていくことが大切です。では、企業や女性であるあなた自身は、どのようなことに取り組めば良いのでしょうか?
企業の経営陣が中心になってサポート
男性社員の中には、女性が管理職になることをよく思わない人が少なからずいます。そのため、会社を経営している人たちが中心となって動くことが重要です。社員とのコミュニケーションを密に取り、女性にさまざまな選択肢を提示して選ばせることも良いでしょう。「女性管理職を増やす」という意識の中、女性の育成をサポートし、その社風を広めていくことで女性が働きやすい環境になっていき、すべての従業員がメリットを生み出せるようになれば企業としても大きく成長できるはずです。
産休や育児休暇制度の見直し
日本では家事や子育て、介護など家庭のことは女性ばかりに負担がかかってしまいがちですよね。実際、産休や育児休暇は女性が取るものだと考えている企業も多いです。しかし、女性管理職を増やすためには、家事や育児に対する考え方を改め、男性も産休や育児休暇を取りやすい環境にしなければなりません。また、復職後のサポート体制を整え、元の仕事に戻りやすいようにすることも重要です。働く環境さえ整えば、活躍できる優秀な女性は大勢いるのです。
働くことに対してのチャレンジ精神を持つ
「自分は管理職に向いていない」「家庭との両立は無理」というようなネガティブな考えから、管理職を拒む方もいるかもしれません。しかし、「やってみたい」という気持ちが少しでもあるのなら、自分の殻を破って挑戦してみてください。管理職という仕事からは得られることも多く、やりがいを感じるはずです。また、管理職世代の女性は、自ら管理職に就くための知識を身につけることも大切です。管理職に対しての意識を高め、前向きな気持ちを持ち続けることで、女性管理職への道も近くなるのです。
おわりに
女性管理職の現状から課題まで、理解を深めていただけたのではないでしょうか?自分の能力を最大限に発揮するためにも、今一度自分の働き方を見直し、性別にとらわれず人材を育成していける企業で働くことを、考えてみるのも良いかもしれません。ワーキングマザーだからと諦めず、チャレンジしてみてくださいね。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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