「おまえなんか、何のとりえもない」などと上から目線で言い放ったり、食事を用意しても嫌そうに手さえ付けなかったりするモラハラ夫…。残念ながら世の中に少なからずいるものです。
しかし、いつも威圧的に接する夫がある日突然、嘘のように優しくなることがあります。そんなとき、妻にしてみては「モラハラが治ったのかも」と淡い期待を抱いてしまうことでしょう。ところが、それはただのハネムーン期なのかもしれません。
ここでは、モラハラの特徴やハネムーン期を含むサイクルについて解説します。
ハネムーン期?モラハラにはサイクルがある
モラハラとは、自分の立場や地位を利用し、相手に対して精神的な嫌がらせをする言動ことです。モラハラは職場や学校などのさまざまな場所で起こり得ますが、お互いの関係性が近く、外からは分かりづらい家庭の中で生じる可能性が高いと言われています。また、モラハラにはハネムーン期を始めとする、時期によって異なるサイクルがあるのです。
夫がストレスを溜め込む蓄積期
モラハラには、3つのサイクルがあるとされています。そのひとつが蓄積期です。蓄積期の夫は神経過敏になってピリピリしたり、愚痴や不満を繰り返したりという言動をします。激高したり暴力を振るったりは少ないですが、妻に対してストレスをぶつけることで毎日を送っているかのような状態になるのです。
このように、嫌な緊張感を漂わせる蓄積期は、モラハラサイクルの中でも一番期間が長い場合と言われています。
爆発期はモラハラ言動がピークになる
爆発期は、世間一般のモラハラのイメージが強いと言える時期です。夫が常日頃溜めていたストレスが限界を超え、ついには爆発してしまったかのような激しい言動が現れます。具体的には、妻に対して人格否定に値するような暴言を吐いたり、妻は底辺で、自分が一番偉いのだというような行動を人前でも取ったりもします。また、爆発期は前触れなく起こるのも特徴です。
優しい夫に豹変するハネムーン期
嵐のような爆発期が過ぎると、夫は一旦冷静になり、自分自身がしてしまったことに気づきます。また爆発期でストレスを十分に発散できたことによって気持ちが楽になるため、妻に謝ってみたり、日頃は関心もない家事を手伝おうとしてきたりするのです。
これがハネムーン期です。しかし、ハネムーン期は長続きせずに再び蓄積期へと移行して行きます。
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夫がおかしいと思ったらハネムーン期を疑うこと
モラハラを日頃から受けている妻は程度の差こそありますが、心身ともに疲れ切っているのが現状です。また、何度お願いしても夫のモラハラが続くため、諦めモードになることもあるでしょう。しかし、ハネムーン期が時々やってくるので、本当の夫の気持ちはどこにあるのかを考えて混乱してしまいます。
夫のモラハラ言動が穏やかになったら注意
夫がモラハラの蓄積期や爆発期にいるときは、ほとんどの妻は落ち着くことがありません。「もうこんな生活は嫌だ」「早く暴言が収まってくれないかな」と考えてばかりで、いつも緊張感が緩むことはないのです。
ところが、「最近夫のモラハラがないな」「私の機嫌を取るようなことばかりする」などと感じるときがあったなら、今まさにハネムーン期の最中にいるのかもしれません。
優しい言動をするようになっても結果は変わらない
ハネムーン期を経験すると、いつもモラハラを受けていた妻は唖然とするものです。あまりの夫の変わりように、夢を見ていたかのように感じたり、本当の夫は優しい人なのではないかと思うようにさえなってしまいます。
しかし、実際に今まで妻が見たり聞いたり感じたりした出来事は、すべて偽りのない真実です。つまり、夫が変わったわけではありません。
自分のせいで夫がモラハラをしたのかもと思わないで
被害者の心理で危ないのが、相手ではなく自分が悪いからモラハラをされるのだという勘違いした気持ちです。モラハラにはハネムーン期があるがゆえに、妻もその時期だけは安心して過ごせます。そして、ホッとしているときに夫が何かと優しくなるため、あたかも自分の方が間違ったことをしているのかもという錯覚を起こしがちになるのです。このような考えが少しでも頭をよぎったら、大いに注意してください。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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