配偶者と離婚した後、子どもとは会わせるべきなのか?については親として非常に悩むところです。たとえ夫婦関係が終わったとしても、親子関係は永遠なので、会わせた方が良いのかについては、離婚理由などによっても変わってきます。ここでは、離婚後でも子どものために面会交流するべきか?についてお伝えします。
面会交流とは一体何か?拒否はできる?
円満離婚をした場合を除き、基本的に離婚した後は子どもと元配偶者を会わせたがらない人も多いことでしょう。しかし、民法には離婚をする際に「面会交流権」を定めるべきだという記載があります。そもそも、面会交流権とはどういったものなのでしょうか?
離婚して別居している親子が面会をする権利
面会交流権とは、離婚後に別居している親と子が定期的に会える権利のことです。日本では離婚をした場合は、片方にしか親権が与えられないので、一般的に子どもは親権を持つ方と暮らします。また、監護権というものも存在しますが、親権と監護権を分けたとしても、結局監護権を持つ方と暮らすことになるので、離れている親とは気軽に会うことができません。
そこで、面会交流権を持ち、例えば「月に○回の面会交流をする」などの取り決めを交わして、親子関係の交流を継続させることが望ましいと考えられています。民法で認められた権利であり、子どもの教育にも関わってくることなので、一時の感情に惑わされるのは避けた方が良い問題だと言えます。
面会交流はどのようにして決めるか
面会交流は、親子の関わりを持つことで子どもの成長に影響をもたらすことから、メリットとデメリットが存在します。
例えば、夫婦仲は悪くとも子どもとの関係が良好であれば、会わせないことで子どもの心に傷を与える可能性があるので、面会交流は必要です。一方で、子どもや配偶者に暴力・暴言をふるう人だった場合は、面会交流をしても、子どもにとって良い影響を与えるとは言えません。
こうした観点から、面会交流を持たせるかどうかを決める際には、以下のことを意識しましょう。
- 子どもとの関係性
- 離婚前の家庭環境
- 子どもの年齢や希望
これらを考慮し、子どもにとって最善だと思えば、面会交流をした方が良いと言えます。
面会交流は拒否することが可能
面会交流権は誰のためにあるのかといえば子どものためですが、子どもと離れて暮らす親のためでもあります。会うことで子どもに良い影響を与え、親子として良好な関係を続けることができるなら良いのですが、離婚理由やもともとの子どもとの関わり方を見て「離婚後は会わない方がいい」と思えば、面会交流を求められても拒否することもできます。
しかし、最も考えなくてはいけないことは、子どもが会いたがっているかどうかです。片方がそばにいてくれたら、それでいいと思う子どももいるため、そのような場合は無理に面会交流を遂行する必要はありません。
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一般的な面会交流で決めた方が良いこと
面会交流と言っても、元配偶者を自宅に呼んで子どもと一緒に過ごさせるという人はあまりいないでしょう。一般的には、外で待ち合わせをして会わせる、自宅に迎えにきてもらって、どこかに一緒に行くなどの方法を取ることが多いと言えます。
しかし、スムーズな面会交流をするためには、お互いにとって必要な決め事を事前に定めておく方が効果的です。
会う頻度と場所はとても重要
最初に決めておいた方が良いのは、子どもと会わせる頻度です。離婚したばかりの時は週に2回や3回会いたがっても、だんだんと仕事や日々の忙しさに追われて会う頻度がさがり、子どもが傷つくという話はよくあります。そうならないためにも、適切な距離感を最初から持っておくことが必要です。一般的には、月に1回〜3回程度の人が多く、子どもとの関係変化によって回数も変えていくケースが少なくないと言われています。
また、会う場所もどちらかの家ではなく、できる限り買い物に一緒に行ったり、ファミレスで食事をしたりするなど、密室を避けことを意識しましょう。ただ、離婚後の関係によって、どこまでの距離感にするかは違ってきます。
子どもの学校行事への参加についてどうするか
多くの親が困るのは、離婚後の幼稚園や小学校などで行われるお遊戯会や運動会に、それぞれ親が参加するのか?という点です。親権を持っていない側が、親子の行事に参加することに抵抗感を示す場合も多いですが、この点は子どものことを第一に考えて決めましょう。
2人揃っての参加はしたくないと思うのであれば、バラバラでも構いません。子どもにとって両親が参加してくれることが嬉しいのか、それとも険悪になるくらいなら片方だけで良いのかについては、お互いの話し合いが必要になります。
つき添い人をつけた方が良いかを決める
面会交流といえども、絶対に1対1で会う必要はありません。まだ子どもが幼いうちは、親権者も付き添って何かとお世話をしてあげることも必要です。
ただ毎回介入してしまうと、親権がない方は親子関係を阻害されたような気分にもなるので、頃合いをみて付き添いを辞めるのが良いでしょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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