「長男教」という言葉をご存知でしょうか?昔から日本にある風習といっても良いかもしれませんが、現代でも地域によっては根づいている風潮です。
しかし、時代の変化と共に、当然とされていた長男教の考え方にも変化が訪れています。
この記事では、長男教について詳しく解説します。
現代も根付いている長男教とは?
地域によっては、まだまだ根強く残っている長男教ですが、東京などでは現代ではほとんど聞かれないワードでもあります。
そのため、「長男教」という言葉自体初めて聞くという人も多いでしょう。
長男が親の老後の面倒をみるという価値観
長男教の最大の特徴としては、両親の老後の世話をする役割の人間という価値観です。
昔の日本では、男の子が誕生すると家の跡継ぎとされて、大事に育てられました。
現在では、法律で遺産の相続は妻に半分、残りは子どもで等分すると定められていますが、昔は跡継ぎである長男が全て相続するという時代もあったほどです。
このように、その家にとって長男は遺産を全て相続する代わりに、両親の老後の面倒を見るという価値観が強いのです。
後継ぎとして家庭のやり方を代々伝える
日本では、古くからその家の土地や家・やり方など先祖が代々守ってきたものを、自分の代や自分の子どもの代で絶やしてはいけないという風潮がありました。
この風潮が農家や地主だけではなく、現代の一般家庭にも広がり、地域によっては親と同居し両親がやっていたやり方を、長男の妻にも強要するという習慣が残っているケースが多いのです。
生活様式が変わった現代でも残る悪習
長男教は、単に長男だけが影響を受けるものではなく、長男の妻になった人にも影響を及ぼします。
時代が変わっても、地域によってはこのような長男第一思考が根強く残っており、価値観の違いから結婚後にトラブルに発展する夫婦が多いのも事実なのです。
そのため、捉え方によっては、長男教は現代でも残る悪習とも言えるかもしれませんね。
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長男教によって起きる問題やトラブルとは?
長男教は単純に長男を大切にするだけ、遺産相続のため、という考え方ではなく、日常生活において問題が起きやすい価値観といってよいでしょう。
ここでは、実際に長男教によって、どのようなトラブルが起きやすいのかを具体的にお伝えします。
同居によるモラハラ・パワハラ
例えば、「男の子を産みなさい」「嫁は家事全般を全てやること」「しきたりに沿った行動を強要する」などのモラハラ・パワハラに関するやり取りが、実際に長男教の家庭では行われているケースがあります。
また、直接的な言葉ではなくても、表情や態度でお嫁さんが嫌がるような行為を平然と行っている場合も多いのです。
同居を拒むことで親族から攻撃される
長男教の家庭では、長男夫婦は結婚したら同居をするのは当然だと考えられています。
お嫁さんの意向で同居を拒むようなことがあれば、両親だけではなく親族からも「冷たい」「わがまま」という言葉を投げかけられ、肩身の狭い思いをする可能性があります。
このようなケースでは、長男教の家庭の中で長男として育った旦那さんも、両親の味方をするケースが多く、お嫁さんにとっては逃げ場がなくなるような状態になってしまうのです。
家庭の中で行われるため問題が表面化しにくい
長男教の家庭の中での行為は、家庭という閉ざされた空間で起きていることなので、なかなか表面化しにくいという特徴があります。
そのため、お嫁さんが辛さを周囲の人に相談しても、「あなたにも原因があるんじゃないの?」というように、理解してもらえない場合が多く、精神的に追い詰められてしまうという二次問題も発生しやすいと言えます。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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