子どもの転落を減らす対策法を考えよう
転落事件は、子どもが高い場所への恐怖感が薄れてしまうという現代のライフスタイルと密接に関係しています。しかし、親ができる限り子どもに対して、高い場所に関する危険性を教え、ベランダを日常的に活用している場合でも、子どもが転落しにくい工夫を行うなど、さまざまな対策法を考えることは可能です。
少しの間でも子どもから目を離さない
マンションには数多くの世帯が住んでおり、安心感があるため、つい「ちょっとだけだから」と子どもから目を離しがちになることがあります。実際に、子どもを室内に残し、用事で1階に下りていた母親を探そうとして、10階にある部屋のベランダから子どもが転落したという事件も起こっています。わずかな時間でも親が目を離せば、子どもはベランダから外を探そうとする傾向にあるという専門家の意見もあります。親が室内から出るときは、子どもも一緒に連れて行くなど、目を離さないことが重要です。
子どもを室内だけで遊ばせないようにする
小さい頃から高層マンションで育った子どもは、高い場所に慣れています。特に、室内だけで遊ばせていると、高い場所が危険だという気持ちが育ちにくいものです。そのため、子どもを遊ばせるときは、室内ばかりではなく、公園などの外へ連れ出して地面と目線の高さをきちんと認識させることが大切になります。そうすることで、子どもは高さの感覚を養うことが可能になりますし、健全に「高い場所は怖い」という意識が育つようになります。
ベランダにはできる限りものを置かない
部屋の中がものでいっぱいになるとどうしても次に目がいくスペースはベランダではないでしょうか。ついついベランダに使わなくなった荷物を置いてしまうご家庭も多いことでしょう。ですができる限りベランダにものを置かないことが重要です。例えば、ベランダの手すりの近くに箱などを置いている場合、子どもが踏み台のようにしてそこに登り、手すりから下をのぞくという行動に出やすくなります。子どもの頭は重いことから、下を見るという動作を行うと、その重みで転落することも多いため、気を付けなければなりません。
おわりに
高層マンションに住む世帯が増えたことに伴い、子どもの転落事件はどうしても起こりやすくなりがちです。親は、この環境を把握したうえで、子どもを一人にさせないことや彼らの心理を理解したうえで、真剣に対策を練る必要があります。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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