全国の待機児童問題を解消するために2016年に内閣府が「企業主導型保育事業」をスタートさせました。企業が保育園を運営し、柔軟なサービスを提供するための整備費や運営費の助成を行う制度です。助成を受けている「企業主導型保育園」は令和2年3月に全国で3700件以上開設されています。企業主導型保育園とはどんな保育園なのでしょうか。
企業主導型保育事業とは
企業主導型保育事業は、2016年に「仕事・子育て両立支援事業」のなかの1事業としてスタートしました。従業員の子育て環境を整えて、離職防止や女性の活躍を推進するために内閣府が打ち出した取り組みです。
全日本空輸株式会社 | |
2018年4月開園(東京23区・最大定員25名) 2018年8月開園(沖縄県・最大定員30名) |
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株式会社ニチレイ | |
2018年4月開園(東京23区・最大定員32名) | |
NTT都市開発ビルサービス株式会社 | |
2018年4月開園(東京23区・最大定員15名) 2018年6月開園(東京23区・最大定員25名) |
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昭和の森エリアサービス株式会社 | |
2018年4月開園(東京23区外・最大定員30名) | |
イオンモール株式会社 | |
2017年9月開園(長野県・最大定員30名) 2018年3月開園(神奈川県・最大定員30名) |
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西武鉄道株式会社 | |
2018年11月開園(埼玉県・最大定員12名) |
企業が助成金を受けて保育所を開設
企業主導型保育園は、一般企業が自社の従業員のために設置して運営する保育園です。認可外保育施設ですが国が一般企業に助成金を交付し、保育所を開設・運営する手助けをします。開設・運営資金を援助することで、実際のニーズがある現場の声を生かした保育所開設を推進していこうというねらいがあります。
地域住民も利用できる
企業主導型保育園は従業員ではない地域の住民も利用可能で、入所するときは開設している企業に直接申し込んで契約をかわします。受け入れる子どもの人数や年齢は、企業主導型保育園が任意に決めています。
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企業主導型保育園のメリット
企業主導型保育園は企業にとっても保護者にとってもメリットがあります。保育園を作る企業側としては、従業員のキャリアを中断することなく、能力のある従業員を確保できることが最大のメリットです。一方、保護者側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
補助金のおかげで保育料が認可並み
企業主導型保育園は認可外保育園です。認可外保育園には国の補助金が出ません。そのため、認可保育園に比べて保育料が高くなってしまいます。しかし企業主導型保育園は、認可外であるにもかかわらず国から補助金が出ます。おかげで保育料の負担が少なく、認可保育園並みの保育料で子どもを預けることができます。また、この制度を利用して保育園を併設している企業に就職すれば、従業員としてさらに優遇措置が受けられる場合もあります。
認可保育園よりも入りやすい
内閣府の調査によると、企業主導型保育園の利用率は定員の7割程度。原因は、需要と供給のアンバランスだと分析されています。しかし、空きがあるということは、希望すればほぼ確実に入れるということです。保活を考えている方は、地域に企業主導型保育園がないか、開設の予定があるか、日ごろから情報を集めておきましょう。
幼児教育無償化の対象になる
2019年の10月から幼児教育の無償化が実施されました。対象となる子どもは、3~5歳のすべての子どもと、0~2歳の住民税非課税世帯の子どもです。企業主導型保育園も無償化の対象になっていますが、申請が必要な場合もあります(※)。
※3歳から5歳の子どもと、0歳から2歳までの住民税非課税世帯の子どもの標準的な利用料が無償になります。
従業員のライフワークバランスを支援
東京都のあるソフトウエアメーカーの企業主導型保育園では、従業員のワークライフバランスの充実をはかる目的で、大人の食事も提供しているのが特色です。仕事帰りに親子で一緒に夕食を食べ、帰宅できるので、家事の負担が大幅に軽減されています。国の認可がいらない分、このように利用者の多様なニーズに柔軟に対応できる点が、大きなメリットになっています。
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