子育てをする上で親の手を借りることが、かかせなくなっている人も多いのではないでしょうか。けれど、その親が手助けをしてもらう相手ではなく、手助け(介護)をしてあげなければならない相手だとしたら・・・晩婚化、少子高齢化が急速に進む現代日本において、多くの人が子育てと介護の同時進行に直面する時代がもう間もなくやってくるかもしれません。
現在行われているダブルケアの実情
ここ数年、認知度を上げてきた「ダブルケア」という言葉ですが、なんとなく耳にしたことはあるけれど、どんな意味かはわからないという人も多いのではないでしょうか。ダブルケアとは何なのか、誰がどんなことをするのか、どれくらいの費用がかかるものなのか、その詳細をご紹介します。
そもそもダブルケアとはどんな状態のこと?
ダブルケアとは、育児と介護を同時期にしなければならない状態のことを指します。かつては、育児が一段落した後に親の介護が始まることが一般的で、また、兄弟間などである程度負担を分散することもできましたが、今後は晩婚化や少子化などの影響で子どもが小さいうちに一人で介護も担わなければならない人が増加していくと予想されています。
現在どれくらいの人がダブルケアを行っているの?
内閣府によると、平成24年度現在ダブルケアを行っている人は推計で25万人(女性17万人、男性8万人)、30代~40代が中心となっています。また、ダブルケアを行っている男性の5割以上がほぼ毎日配偶者からの手助けを得ているのに対し、女性は4人に1人にとどまっています。一人でダブルケアを行っている女性が多いという実態が見えます。
ダブルケアにはどれくらいの費用がかかるの?
ソニー生命の調査から、ダブルケアにかかる費用の平均月額は81,848円ということがわかりました。内訳は親の介護費や医療費が29,623円、子どもの保育や教育関連費が33,087円、その他が19,138円です。介護費用に関しては、全体の71.7%が費用の5割以上を親の年金や預貯金から捻出しているとしていますが、全額を親のお金で賄っているのは約2割で子ども世帯が何らかの負担をしている場合も多いといえます。
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ダブルケアをとりまく問題とは?
ダブルケアを実際に経験した人は増加傾向にあるとはいうものの、実数はまだまだ少ないため、何か相談したいことがあっても相談相手を探すことさえ困難な現状があります。ダブルケアをとりまく問題点についてみてみましょう。
育児・介護をしながら仕事を続けることの難しさ
育児と仕事の両立、介護と仕事の両立の困難さがニュースなどでも度々取り上げられていますが、子育てと介護をしながら仕事をすることの困難さは想像に難くありません。実際、ソニー生命調べによるとダブルケア経験者の29.8%が介護や育児を理由に離職した経験があるとしており、これは育児もしくは介護どちらか一方を理由に離職した人の離職率11.9%を大きく上回っています。
相談窓口すら整っていないダブルケア
ダブルケアを行うことになった人がまず直面する問題の一つが、自治体などの公的機関へ相談がしづらいことです。一部の自治体ではその不便さを解消しようという動きだし、例えば堺市では区役所にダブルケアの相談窓口が開設されたり、横浜市では地域ケアプラザでコーディネーターが相談にのってくれたりといった体制が整ってきつつあるといえます。しかし、まだ多くの自治体では介護関連と子育て関連の窓口が異なり総合的な相談をするのが難しい状況にあるといえるでしょう。
十分に対応できないことで生じるストレス
どちらか一方でも大仕事の育児と介護を同時に行うのはとても大変なことです。それに加えて仕事をするとなるとバランスをとるのは一層困難になります。しかし、他方に時間をとられ介護や子どもの世話など何かが十分に行えないと、ダブルケアを負担に感じることが多くなり、ケアを担う人のストレスがより大きくなってしまいます。
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7歳の男の子と4歳の女の子の母です。試行錯誤の子育てですが、子ども達に成長させてもらっています。
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