旦那さんに「転職をしたい」と相談されたら、あなたはどうしますか?定年まで同じ会社で働いて退職金を満額もらってほしいのに、と思っている人もいるでしょう。転職してしまった場合、退職金はどうなってしまうのでしょうか? 定年まで働いた場合に比べ、中途退職して受け取れる退職金は減ってしまいます。今回は転職すると退職金が減る理由や、その他退職金を受け取るときに注意すべき点についてご紹介。もちろん奥さんが働いている場合にもあてはまるので要チェックです!
転職すると退職金はどれぐらいもらえるのか
退職金制度がある会社に勤めている場合、定年退職だけでなく、中途退職でも一定年数在籍すると退職金がもらえます。退職金の受け取り方法や、中途退職した場合にどれぐらいの退職金が受け取れるのか見ていきましょう。
受け取り方法による「退職金」の種類
会社を退職する際にもらえるお金を「退職金」とよんでいますが、支給方法によって「退職一時金」と「退職年金(企業年金)」の2タイプに分かれます。「退職一時金」は、退職時に一度にお金を渡す方法、「退職年金」は定年退職後に定期的に決まった額を受け取る方法です。
退職金をどういう方法で渡すかは、会社によって「退職一時金のみ」「退職年金のみ」「退職一時金と退職年金の併用」に分かれ、大企業は「退職一時金と退職返金の併用」が多く、中小企業は「退職一時金のみ」というところが多いようです。お勤めの会社がどのような方法を採用しているか、就業規則などで確認しておきましょう。
退職金の受給額モデルから見えること
では、転職するために中途退職すると、いくら退職金がもらえるのでしょうか。実は、退職金の受給額は会社ごとにバラバラです。ここでは国内企業の9割以上を占め、労働者の8割以上が働く中小企業について、東京都が都内の中小企業を対象に行った調査結果をもとに見てみましょう。
東京都産業労働局が行った「中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)」によると、「モデル退職金」(学校卒業後、すぐに入社して平均的な昇給をした場合の退職金)は以下のようになっています。
大卒を例にとってみましょう。定年を60歳とすると、38年間ひとつの会社に勤めた場合、1203万円あまりの退職金を得ることができます。そこから考えて10年勤めた場合にもらえる退職金が121万円(自己都合退職)、あるいは157万円(会社都合退職)なのは少なすぎる印象を受けます。勤務年数が浅いと、もらえる退職金が割に合わないと感じるでしょう。
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中途退職して転職すると退職金が減る理由
上の表から、転職するために中途退職すると、定年まで勤めるよりも退職金の金額面で損をすることが、感覚的に読み取れるかと思います。勤務年数で換算して、損をすると感じてしまう理由には、いくつか要因があります。退職金の金額の決まり方を見ながら、損だと感じる要因を見てみましょう。
退職金の金額の決め方と影響する要素
退職金の額の決め方には、大きく2種類に分かれます。ひとつは「年功型」。もうひとつは「成果報酬型」です。年功型は勤続年数に比例して算出する方法で、勤続年数に対して退職金の額がある程度決まっています。成果報酬型は、従業員の役職や業績に合わせて掛け金を設定し、毎月その金額を積み立てて、退職時に退職金を算出する方法です。
また、役職や業績だけでなく、勤続年数なども加味し、これらに対して掛け金ではなくポイントを設定し、退職時のポイント総数に応じて退職金を出す「ポイント制退職金制度」もあります。この制度は、年功型と成果報酬型を併用したものともいえます。
どのような方法を採用しているか、会社ごとに違いはありますが、勤務年数や会社への貢献度は退職金の額に影響するといえるでしょう。
退職金の額は自己都合退職<会社都合退職
自己都合退職とは、病気や介護など、一身上の都合で辞める場合を指します。「会社都合」とは、業績悪化や経営破綻による会社からの解雇、または希望退職に応じて退職する場合などが該当します。
上の表を見ると、自己都合退職による退職金の額は、会社都合退職による退職金よりも少ないことが一目でわかります。転職も「自己都合退職」に該当し、これだけで退職金が低くなる一因となります。
退職金はもともと、従業員の長年の労をねぎらうという性格のものでした。従業員が自分の意思で退職したことに対して、マイナスの評価をする傾向にあるのも、「同じ会社に長く勤めることがいいことだ」とする古い価値観の名残かもしれません。
勤続年数が少ないほど、退職金は少なくなる
先ほどの表を見ると、高卒・大卒ともに勤続年数が少ないほど、定年でもらえる退職金に対して損をする割合が大きくなる傾向があります。これは、先ほど見たように、勤めた年数が退職金算出の要素になっているからです。
さらに、表では勤続年数十年以降の退職金しか示されていませんが、「退職金を出すのは勤続何年以上ですか?」という問いに対して、いちばん多く回答が寄せられたのは「3年」でした(自己都合退職の場合、48・8%)。勤続年数が3年未満だと、退職金が出ない可能性があります。
貢献度が低いと退職金の算出に不利
退職金を算出する際、勤続年数だけでなく、ポイント制退職制度のように貢献度もポイント化して加算する方法をとっている場合は、貢献度の低さが退職金に影響する可能性が大です。
近年は勤続年数だけを考慮する「年功型」よりも、「成果報酬型」を取り入れる会社が増える傾向にあります。「勤続年数が10年あるから…」と安心していると、予想以上に退職金が低かったということになるかもしれません。逆に、勤続年数が浅くても、営業成績などで会社に貢献していれば、退職金の算出に有利に働きます。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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