「エア離婚」で結婚生活の期限を決める
「エア離婚」は、「夫婦関係の解消=法律的な離婚」の準備期間を指す言葉です。エア離婚の間は、小島さんの夫のように、夫も妻も自立に向けて準備をする必要があります。小島さんは「エア離婚」することに合意が得られたことで、気持ちが楽になったと語っています。
結婚中に離婚の合意を得られるか?
「エア離婚」の期間を持てるかどうかは、相手に「やがては離婚する」という合意を得られるかどうかがカギです。小島さんも、最初に「子育てが終わったら離婚してほしい」と夫に訴えた際、はぐらかされたり逃げられたりしたそうです。
数年後の離婚を約束させることは、簡単なことではありません。小島さんは「夫の裏切り」がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の要因になるほど追い込まれた状況になり、繰り返し夫に離婚を訴えたことで、最終的には合意を得られました。
「あなたに対するモヤモヤを抱えつつ、子どものために結婚生活を続けている。子どもが独立したら、一緒に住みたくない」と夫に告げるのは、勇気がいることです。経済力に不安がある妻ならなおさらです。ただ、自立に向けて努力しようと意欲がある人なら、小島さんの考え方は参考になるかもしれません。
二人きりになって我慢しなくていい未来
子どもたちの独立後、「この人の妻であることを、一生背負っていくのは耐えられなかった」と言う小島さん。いずれは離婚することがわかっているから、「妻」とは違う未来があることに希望を持つことができる――そんな思いに、共感できる人もいるのではないでしょうか。また、小島さんはエア離婚期間に入ったことで、夫に対しても憎しみだけでなく、これまで一緒に過ごしてきたことに感謝できるようになったそうです。
法律的には「婚姻」でひとくくりにされる夫婦関係ですが、その中身は一様ではありません。また、一組の夫婦も時間の経過とともに距離感は変化していきます。「夫婦」という言葉に含まれる、法律的な関係と精神的な関係にどう折り合いをつけていくか。「エア離婚」がヒントになるかもしれません。
おわりに
十数年前「卒婚」という言葉が登場し、2019年には小島さんが「エア離婚」という言葉を生み出しました。こうした言葉が生まれるのは、子育てが夫婦関係をつなぎ留めている要素が大きい表れといえます。人生100年時代ともいわれる今、子育てが終わった後の人生は短くありません。「親」の役割を終えてからのご自身について、時には考えてみてはいかがでしょうか。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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