愛し合って結婚した夫婦でも、性格の不一致などにより、残念ながら 離婚に至るケースが存在します。また、子どもがいた場合は、離婚後も扶養義務は発生しますので、夫が妻に養育費を支払うことが必要です。しかし、養育費をもらえない妻たちが7割もいるという現実があることを知っていましたか。今回は離婚後も養育費を支払ってもらうためにしておくべきことについて、ご紹介します。
現在の日本の離婚率はどうなっている?
厚生労働省の調査によると、平成27年度に離婚した夫婦は、22万6215組。つまり、結婚したカップルのうち、3組に1組が離婚しているという計算になります。数字で表すと、約30%の夫婦が別れているということになりますので、少し切ない気持ちになりますね。
夫婦で離婚時の養育費の話し合いは行っている?
離婚するにあたって、夫婦2人で築いてきたものを分け合うなど、さまざまな話し合いが必要になってきます。また、子どもがいる場合には、今後の養育費をどうするかというポイントもしっかりと取り決めておかなければなりません。同様に、厚生労働省の調べでは、51・2%の夫婦が離婚するときに養育費について話しているという結果が報告されています。およそ半分の夫婦が子どもの養育費のことについて話し合っているという点は良いことだといえます。その逆で、44・8%の夫婦は、養育費について話し合っていないというデータも示されています。
夫婦間で養育費の取り決めをしている確率
離婚前に、養育費の話し合いをすることは大切なことです。しかし、話し合いだけではなく、きちんとした取り決めを行っている夫婦はどのぐらいいるのでしょうか?母子家庭になった母親の場合は、養育費の取り決めを42・9%行っているというデータが報告されています。母親と子どもだけで生活していくのは、思った以上に大変なことから離婚後のトラブルを防ぐために、しっかりと考えている場合が多いのでしょう。ところが、離婚前に養育費の取り決めを行っていない夫婦も、半分以上いるということが分かっています。養育費の話し合いに比べると、取り決めまで行っている夫婦は割合が少なくなっているのです。
養育費の取り決めをしていない夫婦もいる
離婚後の養育費について、取り決めを行っていない夫婦が半分以上いるということをお話ししましたが、なぜ彼らは大切な取り決めをしていないのでしょうか?それには、離婚を決めた夫婦の、複雑な背景が入り交ざっています。養育費の取り決めを行っていない理由としては、「相手と関わりたくないから」という心理的な理由から、「元夫が行方不明になっている」というやむを得ないケース。さらに、離婚後に何かしらの養育費のトラブルを避けたいからという真意を持つ場合が存在しています。
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離婚後の養育費。現実問題について
養育費などについてきちんと話し合い、離婚したにもかかわらず、厚生労働省が2011年にまとめた「全国母子家庭等調査結果報告」よると、養育費をもらっている母親は、19・7%。実に、約4人に1人しか養育費の支払いを受けていないという驚くべき結果が示されています。
母親は養育費をもらう権利がある
19・7%の母子家庭の母親が養育費をもらっているということは、残りの約7割は養育費を支払ってもらっていないということが分かります。7割というと、大きな割合ですし、その分母親一人で生活を担わなければならないという責任も、より強くなっていくことでしょう。理由があって離婚した元夫と関わっていきたくないという気持ちがある方も多いのでしょうが、元夫からの支援がまったく得られない中で生活を営んでいくには、相当の負担がかかることがうかがえます。しかし、養育費をもらう権利は離婚後も変わりませんので、泣き寝入りすることなく、養育費を支払ってもらうための方法を知っておく必要があります。
養育費が滞ることで生じる問題とは
母子家庭の約7割が養育費をもらっていないということは、母親だけの力で生計を立てている場合がほとんどだといえるでしょう。しかし、母子家庭の平均世帯年収は、291万円程度となっており、45・8%の母親が「生活が苦しい」と答えていることが分かっています。さらに、家賃や生活費、教育費などが重ることで、家計が圧迫され、心身ともに疲労困憊(こんぱい)する母親が数多くいるのです。養育費をもらえるのともらえないのとでは、大きな経済的な差が生じることがうかがえます。
元夫が養育費を支払わない原因とは
元夫が養育費を払ってくれれば、母子家庭の母親の生活も楽になるでしょうが、元夫にも養育費を払うことができない理由がある場合もあります。例えば、元夫が勤めていた会社を辞職、リストラされたことで、自分が生活していくのがやっとという場合もめずらしくありません。また、離婚後に元夫が再婚し、新しい家庭を持った場合は、今現在の生活を維持する必要もあり、養育費を堂々と払うことができないといったケースもあるでしょう。さらに、元夫が行方不明となり、居場所が分からないため、請求できないといった境遇の方もいます。しかし、離婚した元夫の生活に余裕がなかったとしても、子どもに養育費を支払う義務は法律で定められていますので、例え、自己破産したとしても、その義務がなくなるわけではありません。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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