日常でできる服育の取り組み
服育には、今すぐに日常の中でできる取り組みが数多くあります。また、服育の大切なポイントは、親が教えるというよりも一緒に考えることです。そのため、子どもが興味を持ちそうなことから始めてみましょう。
TPOで服を使い分ける理由と意味を考える
例えば、雨が降る日には「なんで今日は長靴を履いたほうがいいと思う?」と聞いたり、暑い夏の日には「今日はこっちの洋服のほうが汗をかいてもサラサラするから気持ちいいよ」「お外で遊ぶ時には動きやすい服とスニーカーにしようね。怪我したら危ないからね」などと親は子どもに伝えることができます。
普段は親が何気なく選んでいる服も、子どもになぜこれを選んだのかの理由を教えてあげたり、その理由を尋ねてみたりしてみましょう。そうすることで、子どもは状況に応じて必要なものを選ぶ習慣が身につきます。
また、外遊びや天候の悪い日などには、身に着けているもので怪我や事故にあう確率も変わってきます。服育を通じて適切な物を選択できるようになることで、安全性が向上するとも考えられるのです。
服の素材と特性について学ぶ
衣服選びと似ていますが、服の素材と特性を学ぶことで、より適切な服選びが可能になります。具体的には、綿はさらっとしているから肌着に向いている、ポリエステルは暖かいけれど燃えやすいから火元には気を付けないといけないなど、質感と特徴を紐づけると子どもの記憶に残りやすいかと思います。
衣類を通してそうした習慣が身につけば、普段身の回りで使用しているものはどんな素材でできているものなのか、どこからきたものなのかを考えることにも繋がります。
日本も環境問題に積極的になっているため、自分たちが消費しているものの素材を見極めて、分別していくスキルが今以上に必要になってくるでしょう。
自分で好きな服を選んで着る大切さ
自分らしさを育むために、自分で好きな服を選んで着たり購入したりすることも、日常生活で行うことができる服育のひとつです。
また、子どもが選ぶ色や柄などは子ども自身の心を映す鏡でもあります。現在の子どもがどんな色や柄が好きなのか、また何を表現したいと思っているのかを理解し、引き出してあげることも服育のひとつです。
好きな服を選んでもらったら、なんでその服を選んだのか、なぜその服が好きなのか尋ねることも、子どもの自主性を育てるいい取り組みかと思います。
おわりに
服育とは、衣服を通じて豊かな心を育むための取り組みのことです。幅広い意味での教育を指す言葉でもありますので、特別な何かを用意する必要はなく、すぐに始めることができます。また、持続可能性や個と社会の役割など、子どもだけではなく、大人が学べることも多いでしょう。
まずは毎日の洋服選びや買い物の際などに、子どもに服を選ばせてあげることから始めてみるといいですね。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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