「共同保育所」という種類の保育園があることをご存じでしょうか?保護者と保育士がともに協力し合い、乳幼児の保育にあたる施設です。保育士に子どもを任せきりにするのではなく、保護者も主体的に関わる点が特徴です。既存の枠にはまらず、人と人とのぬくもりの中で子どもを育んでいく。そんな共同保育の特色やメリットについてご解説します。
共同保育所ってどんなところ?
保育所…いわゆる保育園にはさまざまな形式のものがあります。認可、認可外、小規模保育などなど。いざ保育園選びを初めると、あまりの種類の多さにビックリしますよね。中でも特徴的なのが「共同保育所」です。まずは共同保育所の特徴をご説明します。
「共同保育」とは?保護者が主体的に参加
共同保育所とは保護者と保育者(保育士)が共同で運営する保育園を指します。一般的な保育園の場合、子どもを預ける保護者・預かる保育者という明確な区別があります。しかし、共同保育所はこのような線引きで役割を分けるのではなく、両者が一体となって保育にあたります。
実例としては東京都練馬区の「共同保育所ごたごた荘」が有名です。こちらの園では保護者も園の掃除や保育活動に加わっているそうです。子どもを預けっぱなしにするのではなく、自ら子どもの居場所を作り上げていく。こういった方針で運営される共同保育所が多いようです。
共同保育所の区分はさまざま
実際に共同保育所はどのような区分に位置付けられているのでしょうか。実は共同保育所に決まった形式はなく、さまざまなパターンがあります。
認可保育所として登録されているケース
小規模保育事業として認可を受けている共同保育所があります。一例として…千葉県船橋市の「共同保育所子どもの家」は民家を利用して1971年にスタートし、2015年に市の認可を受けています。このように一般の方の有志で設立し、後に自治体の認可を受けたケースが多いようです。
認可外保育施設として登録されているケース
認可保育所に準ずる保育施設として、自治体の認定・認証を受けているケースもあります。有名な例では東京都目黒区の「共同保育所コロちゃんの家」。東京都の認証保育所として登録されています。神奈川県厚木市には「共同保育所ほのぼの園」が私設保育施設として登録されており、保育費用の一部が市から助成されます。
その他の自主保育、私設保育所
自治体の認可・認定を受けた保育所とは別に、一般の保護者や保育士が有志で運営するケースもあります。厚木市の「ひよこコミュニティー保育」では保育者と保護者がともに運営する自主保育施設です。年齢により保育時間が異なりますが、4・5歳児は週5で一般的な幼稚園と同程度の保育時間です。子育て支援活動のモデルとして、県から表彰も受けています。
名称 | 共同保育所ごたごた荘 |
定員 | 26名 |
住所 | 東京都練馬区東大泉7-2-3 |
アクセス | 保谷駅、吉祥寺駅より西武バス「西村」 または「西武車庫前」バス停で下車、 徒歩4分 |
サイト | http://www.gotagotasoh.net/index.html |
名称 | 共同保育所 子どもの家 |
定員 | 50名 |
住所 | 千葉県船橋市本町5-15-9 |
アクセス | 船橋駅から徒歩6分 |
サイト | http://www6.plala.or.jp/skm/index.html |
名称 | 共同保育所コロちゃんの家 |
定員 | 29名 |
住所 | 東京都目黒区目黒本町3-12-15 |
アクセス | 東急目黒線 武蔵小山駅より徒歩7分 |
サイト | http://korochan.org/ |
名称 | 共同保育所 ほのぼの園 |
定員 | お問い合わせください |
住所 | 神奈川県厚木市七沢416-2 |
アクセス | バス停【日向川】より徒歩5分 |
サイト | http://honobonoen1978.web.fc2.com/sub7.html |
このように共同保育所にはさまざまな事業モデルがありますが、どの園も保護者が保育に主体的に参加する、という点で共通しています。
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共同保育所の良さとは?三つのメリット
共同保育所は聞けば聞くほど特色豊かな園ぞろいです。その魅力とメリットは大きく三つあります。まず真っ先に挙げられるのが独自の運営方針を貫いているという点です。
保育園といえば厚生労働省が定める保育所保育指針に基づき、自治体の取り決めに基づいて設置されます。具体的な活動内容も保育指針に沿う形で計画されることが大前提です。
共同保育所も自治体の認可を受けている以上はその定めに準拠しています。しかし、ルールありきではなく“子どもをいかに育むか”という、目的ありきで方針を掲げています。
園の運営方針は日々の活動にも直結する根幹部分です。その方針が独自のもので、ゆるぎないものであることは、大きな長所といえるでしょう。
共同保育所は複数の大人による“チーム保育”
共同保育所は何といっても保護者と保育者の連携が強みです。保護者は子どもを預けて後はお任せ…とはいきません。関わり方の一例として、当番制で週末の保育にあたる園や、掃除など日々の業務を保護者が行うなど。また保護者の要望を積極的に取り入れたり、活動案を一緒に考えたりといった取り組みもあるそうです。
このように家庭と保育所の垣根をなくし、みんなで子どもを育て見守っていく。線引きして役割を区別するのではなく、一体となって子どもを育てていくのが共同保育所の魅力といえます。これは保育園を閉鎖的な空間にしないためにも重要な点で、保育の質アップにもつながるでしょう。
共同保育所は生き生きとした学びの場!
自然の中で思いっきり身体を動かしたり、異年齢の子どもが一斉に遊んだり…共同保育所ではこの時期の子どもたちにしか体感できない、さまざまな活動を取り入れています。先生のいうことに従う一方的な保育スタイルではありません。時には保護者が先生となって散歩をします。さらに子どもたちから学ぶことも多いといわれています。
共同保育所の生き生きとした雰囲気の中で、子どもはもちろん大人も伸び伸び楽しめるのが魅力です。「普通の保育園や幼稚園ではちょっと味気ない」「入園させるのが寂しい」と感じているママ・パパにとっては、共同保育所が大きな選択肢となってくれるかもしれませんね。
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30代、保育士。夫と未就学児の長男・小学生の長女の4人家族。初めての出産で分娩トラブル、乳腺炎、産後クライシス、保活失敗など…数々の「洗礼」を受けた経験から『特別なことをするのではなく、地に足の着いた育児』をモットーに、日々奮闘しています。現在は認定こども園で働く傍ら、ライター業にも従事。
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