20年ほど前から「引きこもり」というキーワードが世の中に頻繁に出てくるようになりました。これには、元々若い人や学生が陥る状況というイメージがありましたが、最近では、「引きこもりの主婦」も増えています。主婦の引きこもりとはどういう状況でしょうか?今回は、主婦の引きこもりについて、ご紹介します。
引きこもりの主婦とはどういうこと?
引きこもりの主婦とは、家事はしていても家から出ない・または何らかの事情で家事をすることができず、そのまま自宅に引きこもりになってしまうことをいいます。働いている主婦が引きこもりになると、職場に行けないことが多くなるため、比較的分かりやすいかもしれません。しかし、専業主婦が引きこもりになってしまうケースでは周りが気づきにくいという問題点が出てきます。
引きこもりの主婦はニートや不登校とどう違う?
引きこもりの主婦は、ニートや不登校とは少し違います。なぜなら、主婦業はきちんと行うケースもあり、自分の部屋に閉じこもってもおらず、家族とのやり取りはきちんとできるという場合があるからです。ニートや不登校の多くは、社会とのつながりを全て断ち切ってしまおうとすることもありますが、引きこもりの主婦の場合は、最低限の社会とのつながりは残したままで引きこもろうとすることがあるといわれています。
引きこもりが続くと病気になる可能性も
引きこもりが続くと、中には病気になる主婦も存在します。例えば、うつ病やそううつ病などが代表的なものです。また、パニック障害や不安障害などがともなうケースもあるでしょう。さらに、引きこもりからこれらの疾患になるというよりも、疾患自体が元々の原因で引きこもりに陥ることもあります。いずれにしても、精神疾患と引きこもりの関連性は深いといえるでしょう。
引きこもりになりやすいタイプとは
主婦の場合、何がトリガーとなって引きこもりになるか分からないという場合があります。引きこもりになる理由もケース・バイ・ケースですから、こういったタイプだと必ず引きこもりになるといえるものはありません。ただし、現時点で何らかの精神疾患を抱えていたり、過去にうつ病などの経験を持っていたりする場合には、引きこもりになりやすい環境がそろってしまっているケースもあるでしょう。また、普段から家族との会話やふれあいが多くはないという場合も、家庭の中で孤独を感じ、引きこもりになってしまう可能性もあります。
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引きこもりの主婦になってしまう理由とは
引きこもりの主婦になってしまうのには、どのような理由があるのでしょうか?もちろん、十人十色・さまざまなケースがあるので、理由を一言でいうことはできません。ここでは、参考までに、引きこもりの主婦になってしまう主な理由をお伝えします。
理由1:人間関係の疲れで引きこもりがちに
夫の転勤で新しい土地に引っ越しては来たものの、なかなか新しい友人を作ることができない、コミュニティに入っていくことができないというケースがあります。こういった場合は、社会的なつながりができづらく、コミュニケーションをとる相手も少なくなりがちです。また、パート先やママ友とのトラブルを抱えてしまうと、人間関係の疲れから引きこもりがちになってしまうことも考えられます。
理由2:監視され外に出ることができない
外部要因が絡み、主婦本人の意思とは関係なく、外に出たくても出ることができない・あるいは非常に出づらいというケースもあります。これには、夫のモラハラやDVなどが考えられます。例えば、暴力を受けていてそのアザがあるため、付近の人に見られないために引きこもっているというケースもあるでしょう。また家族に強制され、外に出してもらえないという可能性もあります。こういった場合は、外部の助けが必要であり、もし友人や知人の主婦が最近姿を見せなくなったと思った時には、周囲の人が気を配ることが重要です。
理由3:うつ病などの可能性も考えられる
うつ病などが原因で、外に出る気力もなくなってしまったという可能性もあります。うつ病などの精神疾患の多くは、何かをする気力が失われる症状が出ることが多いので、これが元で引きこもりになってしまうことも考えられるでしょう。うつ病になったのが先なのか、引きこもりからうつ病になったのかという順番については分かりにくいですが、精神疾患が関係している確率は高いといえそうです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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