都市化や核家族化が進んだ現在。それに伴い、家族の形が多様化したり、子育て環境も大きく変化してきました。時代が流れても、子どもは保護者に養育されることが必要ですが、時には国の力を借りることも大切です。そこで政府は、2023年に子どものための政策を担当する「こども家庭庁」を発足することを決めました。ここでは、こども家庭庁とはどんな組織なのかについて解説します。
こども家庭庁とはどういうもの?
原則的に子どもの養育に関しては、保護者をはじめとする家庭単位で行われます。しかし、子どもが健やかに成長するためには家庭だけではなく、国もさまざまな支援や対策を担う必要があるのです。
今までは、内閣府や厚生労働省などが子どもに対する問題に対応してきましたが、2023年からは多くの担当をこども家庭庁に移管することを決めています。
こども家庭庁は総理大臣直属の機関となる
こども家庭庁は、内閣府の外局として新しく創設される予定です。
また、こども家庭庁は総理大臣直属の機関として機能するとともに、専門の大臣や他省庁に対して勧告権を持つことが決まっています。なお、名称についても当初はこども庁の予定でしたが、子育てと家庭のつながりを表現した方が望ましいとの声があり、今の名前になりました。
こども家庭庁に移管する支援や対策.1
こども家庭庁は、ほとんどの子どもに対する支援や対策を1から作るというよりも、今まで子ども関連の問題を担当していた各省より、それらが移管される流れを取ります。例えば、内閣府は少子化対策や児童手当などを担当してきましたが、今後はこども家庭庁が担うことになりました。
こども家庭庁に移管する支援や対策.2
こども家庭庁が移管される仕事は、他にもあります。具体的には、厚生労働省が担当していた虐待防止やひとり親家庭支援、保育所などの支援や対策をこども家庭庁が請け負うことになるのです。
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こども家庭庁の構成について知りたい
こども家庭庁は、子どもの問題や政策を担当する機関になることが分かっています。また、こども家庭庁の構成は3つに分類される予定であり、それぞれの部門は、以下のような役割を持つとされています。
子ども政策を集約する企画立案・総合調整部門
今まで子ども関連の政策などは、内閣府や厚生労働省などが各々で行ってきました。
しかし、こども家庭庁は子ども問題のほとんどを集約して総合的に調整する役割を負います。その際には、こども家庭庁の視点からだけではなく、子ども自身の意見も聞いたうえで政策を進めることを示しています。
また、デジタル庁などとも連携し、それぞれの子どもの家庭状況や支援内容をデータ化して集計する機能も備える予定です。
子どもの成長に関する事務を行う成育部門
子どもが将来に向けて健やかに成長していくためには、彼らが安心して過ごせるための基準を設ける必要があります。
例えば、幼稚園や保育所などに共通の基準を策定し、好ましい教育や保育を受けられるようにすることが大切です。成育部門は文部科学省と協力し合いながら、これらの問題を進めます。
支援部門は子どもが抱える問題の支援にあたる
子どもによっては虐待やいじめに合ったり、親が病気のために自分たちが世話をしなければならないなどといった複雑な環境で育つ場合もあるでしょう。
その改善に向かって、文部科学省と情報を共有することで重いいじめに対しての対策を講じたり、家族の世話や介護をしている子どもたちに必要な支援を届けるために、福祉や医療関係者などと連携し、早期の把握に努めることを行ったりします。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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