教員免許更新制廃止後はどうなる?
2022年7月1日に廃止された教員免許更新制ですが、定期的に教員のスキルアップを図ることは必要です。そこで、2023年4月1日からスキルアップのための新たな研修制度が始まります。
教員免許更新制では文部科学省が制度設計を行いましたが、新たな研修制度では大まかな指針を示すにとどめ、詳細は各都道府県の教育委員会にゆだねるとのことです。
2023年4月から新たな研修制度を導入
2023年4月から導入される研修制度では、各都道府県の教育委員会が地域の実情に合わせて受講時間などを決定します。
外国人児童生徒や発達障害を抱える子ども、不登校など、地域の実情に合わせた研修を用意し、教員は自身が必要と考えるものを受講します。
研修は校内や自治体などの研修、大学や企業のオンライン研修などから選ぶことができ、研修後はテストの実施やレポート提出が求められます。
校長は教員の研修履歴をチェックし、受講する研修についてアドバイスを与える役割を担います。研修を受けない教員や、研修受講後も指導力が不足している教員には、職務命令で研修を受けさせることができます。
教員免許の有効期限の取り扱い
教員免許更新制が導入された2009年4月1日の時点で、教員免許は以下の2種類に区分されていました。
【2】2009年4月1日以降に授与された教員免許
教員免許更新制が廃止されたことで、新たに以下の区分ができました。
更新制があったとき、【1】【2】を持っている人は設定された期限が来るまでに講習を受ける必要がありました。
一方、【3】を持っている人は更新制廃止によって更新の必要がなくなり、免許状は生涯有効です。
【1】を持っている人について、教員として勤務したことがない場合、免許状は生涯有効です。
過去に講習を受けて更新等の証明書を持っており、証明書に記載されている期限が2022年7月1日以降であれば、その免許状は生涯有効です。
しかし、期限が同年6月30日以前となっていて、その時点で教員として勤務している場合、免許状は失効し、再授与申請が必要になります。
【2】を持っている人についても、免許状や更新等の証明書に記載されている有効期間が2022年7月1日以降なら、免許状は生涯有効ですが、同年6月30日以前なら再授与申請をしなければなりません。
【1】【2】の免許状を持っている人は、教職経験の有無や免許状や更新等証明書に記載された有効期限の日付によって、対応が異なります。
おわりに
「教員の知識とスキルをアップデートし続ける」ことを目的とした教員免許更新制は、趣旨そのものは正しいことといえます。
制度のシステムが教員を取り巻く環境の変化とうまく合わず、廃止となってしまいましたが、新しい研修制度が現場に即した仕組みを構築すれば、うまく機能するのではないでしょうか。
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企業取材や社史制作をメインに、子供の出産を機に教育や会計などの記事も手がけています。家族は小学生高学年の娘、夫。関心事は教育やライフプランのことなど。「これからの時代を生きるために必要な力って何?」をテーマに、日々考えています。
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