自己調整学習という言葉をご存知でしょうか?時代の流れと共に、教育や学習に関する分野は、速いスピードで変化していますよね。
そのような中で、子どもの自主性に重点を置いた学習方法が注目されつつあります。
ここでは、自主性を大切にする学習の1つである「自己調整学習」について詳しく解説します。
自己調整学習の教育と学習に関する考え方
それでは、自己調整学習の教育と学習に関する考え方というテーマで、見ていきましょう。
現在の日本の教育は、戦後からの教育を受け継いできている部分が多いです。ところが、最近はその学習方法が見直されつつあります。
自ら学ぶ力を養う自己調整学習とは?
自己調整学習とは、学習する人が自分自身の学習に対して能動的に関わり、自身で学習の調整を行いながら学んでいく事を言います。
教育者に決められた学習目標を達成するのではなく、自らが決めた目標に向かって自分の学習に対する意欲を調整しながら進めて行く事を軸とした考え方です。
自己調整学習は教育現場でも応用できる
結論から言うと、自己調整学習は実際の教育現場でも十分応用する事が出来る学習方法です。実際に、日本でも数多くの実践研究が行われており、書籍も多く出版されています。
自己調整学習は、1990年代にアメリカの教育心理学者「ジマーマン」らの研究によって進められた理論ですが、3つの枠組みを軸とした考え方は教育の現場に非常に取り入れやすいものとなっているのです。
自己調整学習で学習に対する捉え方が広がる
昔ながらの教育方針とは異なり、「学び方」にフォーカスが当てられた自己調整学習は、知識や思考力という側面だけではなく、学び方そのものまで磨いていくという捉え方に変わってきています。
このように、学び方が変わってきている中で、教育方法そのものを改善する良い機会だと捉えている現場は多いようです。
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自己調整学習で大切な3つの要素とは?
自己調整学習には、大きく分けて3つの大切な軸となる要素があります。この要素をステップごとに習得していく中で、子どもが自ら学ぶ姿勢が養われていくのです。
ステップ1【予見(見通し)】の段階
予見とは目標を設定したり、興味関心がある事を見極めたりしながら、自己効力感などを踏まえて学習の見通しを立てることを指します。
「自分がこの期間内で、どのくらいまで学べる力があるのか」という部分をしっかりと把握し、動機付けとしてその学習に対して向き合う目標設定をするために、必要なステップだと言えるでしょう。
ステップ2【遂行コントロール】の段階
遂行コントロールとは、ステップ1の予見で見通しを立てた学習を進めつつ、その様子を自ら俯瞰して見ていく事を言います。
そして、自分自身の学習の様子を客観的に見た時に、「自分はいつも同じような部分で間違えるな」という事をしっかりと把握し、その部分を集中的に学ぼうとする意識によって、効率的な学びにつなげる事が出来る段階となります。
ステップ3【自己省察(振り返り)】の段階
自己省察とは、目標を立て集中的に学び、その学びが一区切りついた時に行うステップで、学習の成果を自分自身で振り返るというものです。
学習が計画的に進んだ要因や、逆にうまく進まなかった原因などを分析し、その問題点を挙げます。そして、その結果から現在の学び方が適切なのかどうかを見極めて、次の学習に活かせるようにするステップです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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