高校募集停止がもたらす影響
中高一貫校には、もともと高校募集を行わない「中等教育学校」と、高校募集も行うことができる「併設型」、そもそも独立した中高が協力する「提携型」があります。このまま「併設型」の高校募集停止が進み、完全中高一貫校が多くなると、教育を受ける子どもたちにも大きな影響が出てきます。
経済格差が学歴格差につながる
中学校は義務教育ですので、授業料は無料です。公立の中高一貫校に進学する場合は、通常の公立中学校の場合と変わりません。しかし、私立の中高一貫校では中学から授業料が必要になります。完全中高一貫校が多くなると、高校から進学できる私立校が減ることになります。希望する高校が募集を停止した場合は、中学校から入学するしか方法がありません。3年間の授業料や施設費、寄付金などの負担は、無視できない金額です。経済的に中学からの進学が難しい家庭では、進路の選択肢が減少し、経済格差が学歴格差につながる傾向に拍車がかかるでしょう。
均質集団は閉鎖的な環境になりがち
完全中高一貫校では、6年間、生徒の入れ替わりがありません。私立校では教員の移動もなく、変化の乏しい環境になります。同じ学校を目指して入学してきた生徒は、家庭環境も似通っている場合が多く、均質化した集団になりがちです。閉鎖的な環境では、一度確立された人間関係は簡単に変化しません。こうした環境ではいじめが起こる可能性も高く心配です。
おわりに
学校が高校募集を停止し、完全中高一貫校化を推し進める背景には、少子化を前にした経営上の戦略と、現実の生徒離れがあります。こうした状況が進めば、中学受験がより難しくなることも想定されます。高校からの編入ができなくなると、子どもたちにより早期の進路選択を強いることになりかねません。中高一貫校への進学を考えているご家庭は、はやめに情報を集めるとともに、受験の意味を親子で考えてみてください。
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