三人の子育てをしながら2015年保育士資格を取得し、モンテッソーリの保育園に勤務。 リトミックや全身を使ったアートなどが得意。自身の子育て経験を生かしながら、保護者の気持ちに寄り添った保育を目指している。保育記事監修者プロフィール:池田美樹 先生
2019年、9月。千葉県を史上最大級の台風である台風15号が襲い、千葉県内で停電という大変な事態が発生しました。例年秋口には台風シーズンで暴風雨が強まり、日常生活に影響を及ぼします。そして、子育て世帯にとって保育園は必要不可欠な存在です。実は、保育園は台風が来ても休園をする事はあまりありません。なぜでしょうか?ここでは、台風が来ても休園できない裏事情をご紹介します。
台風でも保育園が開いている裏事情
今までに、会社に行くかどうかすら迷うような大型の台風が来た時、保育園はどうでしたか?おそらく、通常通り開園していたのではないでしょうか?実は保育園には、台風の時でもほとんど休みになる事はありません。以下に、その裏事情についてお伝えします。
法的に休みになるのは「学校」のみ?
基本的に、台風やその他自然災害などによって小中学校や高校などは、休みになる事があります。台風による臨時休校ですね。この臨時休校ですが、実は法律によって、その取り扱いが定められています。
学校教育法施行規則というものがあり、この中では学校長が授業を中止する権限を持つという定めがあります。つまり、学校長が自然災害などによって授業に支障があると判断した場合、学校そのものを臨時休校にする権限があるというわけです。
しかし、保育園は学校教育法施行規則の管轄下ではありません。法的になるのは学校教育法に定められた学校のみで、保育園はその対象外になるのです。
国の指標づくりが遅れている背景も
保育園も小さな子どもを預かる保育施設ですから、台風やその他の自然災害などが生じた場合には、休む事ができるように制度作りをしなければなりません。ただ、現在のところ国の指標作りが非常に遅れており、保育園は現段階において、台風が来てもさまざまな災害があっても、基本的に休みにする事はできないのです。
これにより、近隣の小中学校や高校・さらに大学まで休みになっているにも関わらず、保育園だけが通常営業という事も考えられます。また、ここ数年ニュースで大きく報道されるような大災害が発生した場合にも、保育園だけは通常運営だったという事も各地で見られています。
仕事を休めない親のために開園?
なぜ、保育園だけ災害や台風があっても、休みにする事ができないのでしょうか?保育園は、基本的に仕事を休む事ができない親のために開かれています。
つまり、災害などによってパパやママの仕事が休みになるという保証がどこにもないため、両親が仕事であれば子どもを預かる場所が必要だというバイアスが働き、結果的に保育園は台風があっても休みにする事ができないのです。この事だけをピックアップすると、国の制度や働き方、そして会社のルールなどあらゆる事に思いをはせる必要がありそうですが、現状としては保育園は休まないというスタイルをとっています。
合わせて読みたい
保育園が台風の時にとった対応事例を紹介
保育園は原則として、台風の時でも休みにする事はできません。しかし、自然災害は自然災害です。保育士など、職員の方々が保育園に出勤する事ができなければ、まず保育園の運営も危うくなってしまいます。そこで、保育園が台風の時にとった対応事例をいくつかご紹介していきます。最近は、臨機応変な対応も広まってきているのです。
安全第一で自主休園にする
まず、安全第一で自主休園にしたというケースです。認可保育園などの場合、「自治体からできる限り台風の時にも開園するように」という要請があるケースもあるので、園長の判断において自主休園にしたという事例です。
例えば、台風の影響で明らかに電車などの計画運休などが決まっている場合、物理的に職員の出勤が難しく、無理に出勤させると保育園の職員の安全が確保できない。また、預かったところで子どもの安全を保育園として確保する事が難しいなどの理由で休みになる事があります。
保育士があらかじめ、園の近くに泊まる
これは、できる限り保育園を開く、という強い意志に基づいてとられた対応事例です。台風が接近している際、大荒れになる事が予想される前夜に、保育士や保育園の運用に必要なスタッフがあらかじめ保育園の近くに宿泊し、そこから通う事で保育園を開くという方法です。この方法は新聞やメディアなどでも報じられ、議論を巻き起こした事もあります。しかし、この対応に感謝しているパパやママが多いのも事実です。
親へ早いお迎え要請をする
台風が最接近する時間帯やその他の状況によっては、朝通常通り保育園を開く事ができたとしても、途中から天候の急変などによって保育園の運営が難しくなるケースもあります。その場合には、早い段階で親へお迎え要請をとるという保育園もあります。これにより、園児の安全を最優先にしつつも、可能な限り保育をするというギリギリのバランスを保った運用を可能としています。保育園側でもギリギリまで考え抜いた上での決断である事がほとんどなので、早いお迎え要請があった場合には、できる限り協力的に対応しましょう。
合わせて読みたい
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。