PTAに対する保護者の思いと代替案とは
PTAを廃止したからといって、すべての問題がすぐに解決するわけではありません。PTA廃止に対する保護者の思いは千差万別です。その代表的なものを、以下にお伝えします。
教育や学校環境の質が低下するという懸念も
PTAは子どもたちの健全な成長のために活動している団体です。そのため、PTAがあれば、保護者も学校内での教育や学校の環境を向上していくことに関わることができます。PTA集会では、教育環境を整えるための話し合いがなされることもあり、そうした活動を通じて、実際に子どもたちにとって学習しやすい環境が整うこともあるのです。
しかし、PTAが廃止されれば、そうした意見交換の場が持たれることもなくなるので、教育や学校環境の質が低下するという懸念もあります。
PTAは要らないという保護者からの声もある
PTA廃止は、学校側のメリットだけを考えた結果ではありません。なぜなら、保護者からもPTAは要らないという声があるからです。保護者たちにとっても、PTA集会や活動への参加や会費、そして人間関係のトラブルは負担になるもの。しかし、PTAがなければ、そんな負担がなくなります。
また、PTAに入会していない家庭との不公平感についても、PTAを廃止することで払拭(ふっしょく)することができます。
PTA集会に替わる会を開催している学校もある
PTAを廃止した学校では、PTA活動に替わるものとして「保護者の会」というものを設置している場所があります。これは従来のPTA活動とほとんど同じようなものですが、PTA連合会には加入していないという違いがあるようです。
結局PTAに替わるものがあるなら、学校側の負担が減るだけで、保護者の負担は変わらないと考える方もいるでしょう。しかし、実際PTAという仕組みは子どもや保護者にとって優れている部分もあり、PTAに替わるものを全く設置しなければ、困ることの方が多いといえるのかもしれません。
おわりに
最近では、PTAは必要ないという保護者の声も多くなりました。ただ、PTAは必要ないと考える前に、PTAが廃止されたらどんな弊害があるのかを、きちんと知っておくことが必要です。PTAがあるのとないのと、どちらが子どもたちや保護者、そして学校側にとって良いのかをじっくり考えながら、議論していくべき問題だといえるでしょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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