親は自分の子どもに愛情を注ぐことは自然な行為です。しかし最近では、ムスコンと呼ばれる息子に対して異様なほどの愛情と執着心を持つママが増えていると言われています。ここでは、一般的な親子の距離感とは逸脱しているムスコンについてご紹介します。
ムスコンとは何?マザコンとは違うの?
ムスコンという言葉は聞き慣れていなくても、マザコンという言葉は聞いたことがあるかも方も多いのではないでしょうか?ムスコンも同じように、母親と息子のべったりした関係といったイメージを持つでしょうが、少し意味合いが変わってくるのです。ムスコンとは何か、マザコンとの違いをよく理解しておきましょう。
ムスコンとは息子に対して異常に執着してしまうこと
ムスコンとは、「息子コンプレックス」とも呼ばれ、自分の息子に対して異様な愛着と執着を持つ状態のことを指します。一般的に親が子どもにもつ愛情とは別に、異性に対する愛情に近いものを持っていることが多いです。まるで自分の恋人かのように束縛したり男として接してしまうなど、親子関係が歪む要因となってしまいます。結果的に息子の自立心や心の発達を阻害してしまう結果になりかねません。本来なら健全な関わりをしなくてはいけない親子の愛情が歪んだ形となってしまうので、家庭環境的には良いとはいえないのです。
マザコンとの違いは何?どっちの影響が大きい?
マザコンという言葉はテレビや雑誌で大きく取り上げられることも多いですが、ムスコンと言われるとイメージがしにくいかもしれません。そのためマザコンの方が危険そう!と思うかもしれませんが、ムスコンも大きな影響を与えるのです。マザコンは過保護や過干渉という場合が多いです。ムスコンの場合は息子を性対象としてみていることが多いので、行き過ぎるとある種の虐待になりかねない行動に出る可能性もあります。
ムスコンになるママの傾向について
ムスコンになるママの特徴としては、夫婦関係が破綻していることが多いとされています。女性として満たされない感情を、息子への愛に転嫁しているからです。また自分の息子への愛情がなぜ執着へと方向性が変わってしまうのかというと、同性である女児に比べて男児を異性として認識し、満たされない心を「子が親を求める姿」で癒やそうとしているのです。息子は純粋にママへの愛情を示してくれるので異性から愛されていると思うようになり、「小さな彼氏」と呼ぶママがいるのもその特徴でしょう。
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ムスコンを改善させる方法はないの?
ママがムスコンになってしまったら、今後もずっと関係が改善することはないのでしょうか?息子の正常な発育のためにも改善させた方がいいと意見もありますが、現実的に改善させる方法について、お伝えします。
夫婦関係の修復が不可欠だといえる
ムスコンになってしまう大きな原因として、夫婦関係の悪さが関係していると考えられています。セックスレスや会話がない、夫が浮気している、不在がちなど大人ならではの理由がいくつもありますが、その穴埋めに息子を利用しているだけなのです。改善してもらうためにはまずは夫婦関係を修復しましょう。もしも修復が難しいのであれば、離婚や別居も1つの方法です。
息子が強い意思を持ってママから独立する
どうしても家庭環境がムスコン中心になっていると、息子本人も自分が置かれている環境の不自然さがわかりません。そのため、知らぬ間に自分自身も母親に依存していることが多いです。ある程度の年齢に達すると「もしかして自分の家っておかしい?」と気づくこともめずらしくありません。この時、息子の方からはっきりと母親離れをすることによって、徐々に距離を空けることができます。母親が可哀想と思うかもしれませんが、正常な親子関係の距離になるだけなので、今までが不自然だっただけだと思いましょう。
基本的にママは自分の異常性には気づかない
息子や夫が行動してくれることによってムスコンから解放されることもありますが、基本的にはママ自身が「ムスコンを改善しなくては!」と思うことはりません。なぜなら、自分がしている異常な行動は全て「息子を愛しているだけ。何が悪いの?」と思っているからです。本人は息子への適正な愛情表現だと思い込んでいるので、自分の行動が一般常識からは外れていることに気づけません。そのため、親子関係を改善させるには、母親以外の人の行動が必要になります。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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