日本は、海外に比べると性教育が遅れていると言われており、「性」に対する情報を共有する機会が非常に少ないのが現状です。
しかし、しっかりと性教育を受けてこなかった弊害はとても大きく、大人になって初めて問題に直面するケースも少なくありません。
この記事では、性教育後進国と呼ばれる日本の現状や今後の課題などについてお伝えします。
性教育後進国と言われる日本と海外の違い
まず、性教育後進国と言われる日本と海外の違いについて解説しましょう。
日本の中では当たり前だと思える性教育でも、海外の性教育と比べると非常に遅れていることが分かります。
日本での性教育は「恥ずかしいもの」
日本では、親子や恋人など非常に近しい人との間でも「性」について改まって真面目に話し合うという機会が少ない傾向にあります。
日本の性教育は、主に学校の保健体育などの授業で教わるケースがほとんどですが、どこかで「恥ずかしいもの」だというイメージが定着しています。
また、「性」に関する基本的な知識と共に、社会的な問題となっている性病に関しても、「授業で習うもの」という雰囲気が強いと言えます。
本来「性」は日常生活と密接に関わっているものですが、こうした日本の教育現場の風潮から、知識はあってもそれを実生活で活かせる人は少ないのです。
海外の性教育は「当然のこととして学ぶもの」
例えば、欧米ではさまざまな科目で「性」について学びます。
避妊具の使い方やピルなどを使用した時の避妊の確率や、脳やホルモンと「性」の関係性や性的快楽などについても幅広く学ぶ環境が整っています。
日本ではタブー視されやすい内容も、教科書に記述があるくらい当然のこととして学校で教えているのです。
日本の性教育後退は30年前から始まった
日本と海外の性教育の違いを見てみましたが、なぜ日本はこれほどまでに性教育が遅れてしまったのでしょうか。
実は、日本の性教育後進は30年前から始まったと言われています。それ以前は、日本の性教育は進んでいたと台湾の記録にも記載されています。
しかし、1990年代後半から2000年代前半にかけて、日本の性教育は「性行動を助長している」という声が高まり、しだいに国の方針として性教育が積極的に行われなくなってしまったのです。
こうした時代の背景も、日本の性教育が後進する要因となりました。
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性教育後進国である日本の性教育に関する課題とは?
海外に比べて性教育が遅れてしまっている日本では、多くの課題があると言われています。
その課題を明確にすることこそ、今後の性教育を活かすきっかけになると考えられているのです。
日本の性教育の課題【包括的な性教育を】
海外の性教育は、避妊や性行為に関してだけではなく、ジェンダーに関するものなど社会的な側面からも「性」を学ぶ環境が整えられています。
さまざまな側面からの「性」を学ぶことで、男性・女性に対する固定されやすい価値観が見直され、年代や環境に合わせてアップデートできるようになると言えます。
性教育が進んでいる海外のこのような学びの価値観が、日本の性教育リテラシーを高めるためには、非常に大切なポイントだと言えるでしょう。
ネット社会に対するメディアリテラシーの教育
現在の日本では、ネット環境が急速に進み、あらゆる情報が溢れています。中には、誤った情報も多く発信されており、危険に近づきやすい状況が多いのが現状です。
こうした情報の中から正しい「性」に関する情報を見極めるためには、教育の現場で踏み込んだ性教育が必要となります。
ネット社会になった現代だからこその課題とも言えますが、多くの情報や出会いの機会から、安全なものをしっかり選び取れるようにしていく必要があるのです。
親子で性について話せる環境を整える事が重要
性教育後進国である日本の課題について見てみましたが、身近な課題としてはやはり親子で「性」について話せる環境を整えることが一番大切だと言えます。
教育の現場では、多くの生徒を対象に授業を行うため、個人個人に合った学び方や情報を選ぶことが難しいのです。
そのため、ふと疑問に思ったことを気軽に親子で話し合える環境が整っていれば、正しい情報をしっかりと取り入れられるようになるでしょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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