乳幼児のころ、絵本の読み聞かせをしていたお父さん、お母さんは多いでしょう。では子どもが小学生になってからはどうですか?「自分で字が読めるから」と読み聞かせをやめてしまうのはもったいないことではないでしょうか。小学生への読み聞かせは、集中力や読解力の向上に効果があります。これを機会に、読み聞かせを再開してみませんか。
小学生の読み聞かせは国語力アップに効果あり
読み聞かせ、というと幼い子ども向けの習慣と思いがちですが、これはもったいない思い込みです。幼児のころから続いている習慣は、ぜひ小学生の間も継続しましょう。これまで読み聞かせをしたことがない、という人も、あらたに始める価値があります。小学生への読み聞かせは集中力を高め、語彙力、読解力をつけるチャンスだからです。
読み聞かせは語彙力・読解力・想像力をアップ
保育所や幼稚園では、絵本の読み聞かせが盛んにおこなわれます。絵本の読み聞かせは、小さい子どもが短時間集中する訓練になりますし、外で遊んで高ぶっている気持ちを落ち着けるのに役立ちます。絵を見て言葉を聴くことで、物の名前や、人の感情を表す言葉、状態を表す言葉などの語彙が身につくこともよい効果のひとつです。
小学生になりひらがなを読めるようになると、読み聞かせをやめてしまうご家庭があるならば、たいへんもったいないことです。なぜなら文字が読めるようになったからといって、子どもの認知能力が飛躍的に向上するわけではないからです。物の名前を文字として読むことができてもそれがなにを表すのか、理解するためには、大人の手助けが欠かせません。
語彙力が増え文章の構造が理解できるようになると、読解力や想像力がつき、総合的な国語力がアップする結果につながります。
高学年までの読み聞かせが読書習慣につながる
文部科学省が委託調査をおこなった、「子供の読書活動推進計画に関する調査研究」の報告を見てみましょう。令和元年に発表された平成30年度分の調査結果です。幼少期以降の読み聞かせについての調査で、「読み聞かせをしていた家庭の子どもは本を読むのか?」という点がポイントです。読書習慣について調査したところ、幼少期から読み聞かせの習慣がある家庭の子どもは、他とくらべて本を読まない子が少ない、という結果が出ました。
特筆すべきは、小学校低学年まで読み聞かせをしていた場合、本(電子書籍含む)を読まない子は26.2%、中学年・高学年でも読み聞かせをしていた場合、20.5%だった点です。小学校低学年までの読み聞かせより、中学年・高学年まで続けた読み聞かせのほうが、より後の読書習慣につながるということがわかりました。読書の習慣は語彙を増やし、読解力をつけるために欠かせないものといえるでしょう。
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小学生への読み聞かせ3つのポイント
小学生への読み聞かせも、幼児への読み聞かせと基本的にはかわりません。読み聞かせは学習ではないので、楽しむことが第一です。親子のコミュニケーション手段のひとつとしてとらえてみてください。読み聞かせのタイミングは自由ですが寝る前の習慣にしておくと、入眠儀式となり生活リズムを作りやすくなります。
テストをしない
読み聞かせを終えたら「楽しかったね」「面白いおはなしだったね」など、気持ちを共有しましょう。「なにが出てきた?」「どんなおはなしだった?」「○○したのはなぜだと思う?」といった、内容の読み取りや事実確認のテストをするのはやめてください。こうした問いかけは、純粋におはなしを楽しみたいという子どもの気持ちを台無しにします。読み聞かせが嫌いになってしまうおそれもあります。
好きな本を読む
「もう大きいのだから絵本はダメ」「また同じ本?」など、読む本を規制することはやめましょう。美しい絵本、楽しい絵本は大人でも心が疲れたときに読みたくなるものです。子どもの好きな本を読んであげてください。図鑑でもかまいませんが、文章が多いものだとよりよいですね。長い物語を毎日1章ずつ読んでいくのもよいでしょう。
大人も楽しむ
読み聞かせは子どもとのコミュニケーションです。義務のように感じると、読んでもらっているほうも嬉しくありません。大人も一緒に本を読むことを楽しみましょう。読み聞かせの技術はなくても大丈夫。上手に読むことが目的ではありません。単語の意味がわからなくてたずねられたときは答えてあげてください。子どもの反応がなければそのまま読み進めていったほうが、物語の世界に入り込みやすいです。
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子どもたちも大学生になり、自分の子育てはひと段落。保育士として、地域のコーディネーターとして、子育て支援・子ども支援にかかわっています。ゆる~く子育て楽しみましょう!
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