少し前の日本では、待機児童問題が大きく取り上げられており、希望する保育園に子どもが入園できないという状態でした。
しかし、現在では保育の現場で変化が起きており、「定員割れ」という状況になっているのです。定員割れが起きれば、簡単に保育園に入れそうに思えますが、問題も多いとされています。
この記事では、保育園の定員割れに伴う問題について詳しく解説します。
保育園の定員割れの現場の現状とは?
保育の現場では、最近まで待機児童ゼロの対策が行われてきましたが、少子化に伴って徐々にその体制に無理が出始めています。その現状を見ていきましょう。
入園したばかりで閉園になる保育園もある
新宿区在住のある母親は、生後5カ月の娘を認可外保育園に入園させて、わずか1カ月半で施設の方から「今年度をもって閉園する」という事を告げられた1人です。閉園の理由は、今回のテーマでもある保育園の定員割れです。
この保育園では、定員が6割しか埋まっていない状況で、採算が取れなくなるという事態に陥っていました。
9年連続待機児童ゼロの京都市でも定員割れが深刻化
「子育て環境日本一」を掲げている京都市でも、保育園の定員割れは深刻化しています。
定員割れは保育園の収入減に直結するため、難しい調整を迫られているのが現状です。
現在、市の全体の6割にあたる257施設で計2,857人分の定員割れが生じており、運営側にとって非常に打撃になっています。
その中で、運営の維持のための対策を図っており、市長は昨年の11月の議会で「定員と利用園児数の解離を埋める制度」を検討するとの意向を明らかにしています。
横浜市では需要と供給のバランスを見直す
横浜市では新型コロナウイルスの影響で、定員割れをする保育園が増えている一方で、空き枠が3千人以上ある中で希望する保育園に入れず、隠れ待機児童と言われる「保留児童」が1,407人もいるというミスマッチが起きています。
これは、実際の保育現場とそれを求める地域との間で、需要と供給のバランスが崩れている事を意味しています。そのため、余裕のある0歳児を減らし、需要の高い1歳児の定員を増やすなど、既存園の活用を優先した整備に力を入れています。
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保育園の定員割れのメリット・デメリット
保育園が定員割れになると、どのようなメリット・デメリットが生じるのでしょうか?その内容を詳しく知ることで、対策を立てることが出来るかもしれません。
保育園の定員割れのメリットとは?
定員割れの保育園は、年度途中だとしても子どもを預けることのできる機会が増えるので、保護者にとってはメリットが大きいと言えます。
また、児童に対して保育士の数が十分に確保されているので、預ける側としても安心感があるでしょう。
保育園の定員割れのデメリットとは?
保育園の定員割れのデメリットとしては、やはり保育園側の運営面での厳しさが挙げられます。保育の現場にとって、定員割れは直接収入に関係する事態であるため、定員割れによって経営状態が傾き、閉園を余儀なくされるケースも多いのです。
保育園の定員割れは保護者や子ども達にとっては嬉しい部分である反面、保育環境を維持するには、デメリットになるという事が分かります。
定員割れはリスクも伴う事態だと認識する必要がある
保育園の定員割れはデメリットのみが存在するというわけではありませんが、やはりリスクを伴う事態だという認識は必要になります。定員割れの保育園では、少しでも入園する児童を確保したいので、利用者にとってはいつでも入園できるという余裕があり安心感もあります。
しかし、突然の閉園を告げられるケースも伴い、このまま対策を行わないと安定的な保育現場の提供が危うい状態になるのです。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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