わが子が宿題をやらないことに悩んでいる親は、たくさんいます。親が宿題をしなさいと言うことは簡単ですが、それでは子どもが反発をしたり、いつも促さないと宿題をやらない子になってしまう可能性もあるでしょう。ここでは、言われなくても宿題をやる子にする方法について、ご紹介します。
子どもが宿題をやらない原因とは何か?
それには宿題をやらない理由もあったはずです。親はそれを心がけ、子どもの気持ちに寄り添って考えてみることが大切だと言えます。
仕方なくやらされているような感覚がある
子どもにとって宿題は面倒くさいものですし、やらなくていいならやりたくないものです。しかし、学校で「やってきなさい」と定められているため「しなくちゃいけないもの」としてとらえています。
つまり、子どもから見ると宿題は「やらされている」と感じているのです。また、もともと勉強が苦手な子は、勉強に楽しさを見出せないので、学校で課せられた宿題はすごく嫌なものに感じられる上に、親から言われると宿題をするべきなのはわかっていても、なんとなくしたくなくなります。
本来、学びは自分に自信をつけるものですが、強制されている感じがすると、良さを見出すことができずに逃げようとする意識が働きます。そのため、あまり自発的に宿題をやらなくなるのです。
宿題に苦手意識があって抵抗感がある
勉強が得意で理解しているという子どもは、積極的に宿題をやります。しかし、子どもながらに「やってもできない」「わからないことを言ったら怒られるのでは?」という不安があると、勉強への苦手意識が強まりがちです。勉強は何度も繰り返し行うことで理解力が深まっていくのですが、授業中や自宅でそこまで意識を強くして、勉強に取り組む子どもはあまりいません。
また、ただでさえ「やらなくちゃいけない」という押しつけが苦痛なのに、勉強の内容もよくわからないし苦手だと思えば、かなり抵抗感が強まるのです。そのため、宿題はぎりぎりまでやらない、時間的余裕がなくなってから慌ててやるという子どもが多くいます。
自宅で宿題をすると落ち着かないから
子どもにとって学校は勉強する場所だと認識しているので、あまり勉強すること自体に抵抗感がありませんが、自宅は自分の時間を楽しめる場所なので、いざ宿題をやろうにも、ゲームやマンガなど魅力的な誘惑がたくさん存在しています。
そのため、イスと机の前に黒板があるだけの教室とテレビやゲームがあり、生活音が響く自宅では集中力の差が出てくるのは当然です。
子どもはいろんなことに興味を持つため、自宅で宿題をしようにもほかに気になるものがたくさんあって、やりたくなくなることがあります。
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宿題をやらない子どもへ親がしがちなNG対応
親としては宿題はやらなくてはいけないものなので、宿題をやらない子どもにどうにか行動をしてもらいたいと願っています。しかし、なかなか子どもが自分でしないと、親なりに声掛けや行動することも多くなります。ただ、親の態度や行動が逆効果になる場合もあるので、NG対応を理解しておきましょう。
「しなさい」と頭ごなしに指示する
親がやりがちなNG対応は、とにかく子どもの意見は聞かずに「宿題をしなさい」と指示することです。しかし、納得していないことや自分のことを聞いてもくれない人から無理やり指示されてもやろうとは思えません。むしろ反抗心が出てきて、かえってやりたくないと思うことがほとんどです。
子どもにも自我はあるので、いくら親でもなんでもかんでも指示をしたり、「いつまで宿題やらないの?やりなさい!」と叱られてしまったら、気持ちが滅入って行動できなくなるでしょう。一方的な指示は子どもの気持ちを傷つけ、宿題への抵抗感が強くなるので、さけてくださいね。宿題はあくまでも子どもが向き合うものなので、強制はNGです。
「宿題をやらないなら○○させない」と脅す
アメとムチ方式で、「宿題をやれば○○できるけど、しないなら◇◇させない」という取引を持ち掛ける親も多いものです。確かに効果はあるでしょうが、◇◇させないというのは、ある意味で「罰」と同等になるので、子どもの性格によってはすごくストレスに感じてしまいます。そうなると、どんどん宿題が嫌なものに見えてきて、やる気が消失する場合もあるでしょう。
何かと引き換えに宿題と言うのではなく、宿題をまずは頑張ってからゲーム、マンガの〇ページまで読んだら宿題をしよう!など、子どもの切り替えを促すようにしてください。
「勝手にして」とサジを投げる
あまりにも宿題をやらないわが子を見ていると、もう好きにしてよとイライラすることもあります。そこで「もうそんなにやりたくないなら勝手にすれば?」とサジを投げてしまうと、子どもは見捨てられたような気がしてすごく気持ちが落ち込むのです。
大人は勉強をしなければ子どもがどれだけ大変な思いをするのか、経験上理解しています。だからこそ宿題をしなさいと言い続けているのですが、子どもはまだわかっていないので、そんな親を見ていると子どもは恐怖心を感じたり、自尊心が傷つく可能性もあります。冷静にコミュニケーションをとりましょう。
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福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
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