子どものクラスでいじめが発生。うちの子が「いじめ傍観者」の立場にたっているとしたら、親としてどうすべきでしょうか。小学生の子を持つ家庭にとっては決して遠い存在ではない、いじめ問題。加害者にも被害者にも絶対なって欲しくないけれど、そのどちらでもない「傍観者」になることもあります。この記事では「いじめ傍観者」について、その実態や親として考えるべきことをご解説します。
被害者でも加害者でもない「いじめの傍観者」という立場
今やどの学校でも避けては通れないといわれる、いじめ問題。わが子が6年間を過ごす小学校では、いじめ問題を抱えるクラスに当たることも考えられます。親として一番怖いのは加害者・被害者になることです。
一方、そのどちらでもない「いじめ傍観者」であったらどうでしょうか。加害者でも被害者でもないから一安心…とはいきません。
小学校低学年が危険!?いじめの現状
学校でのいじめの実態をまとめた文部科学省の調査によると、令和2年度の小学校でのいじめの認知件数は420,897件。件数が急増した令和元年と比べて13%ほど減少したものの、ここ10年ほどは増加傾向が続いています。
この数字は中学校の約8万件、高等学校の約1万3千件と比較すると大きな数字。小学校が6年間あることを差し引いても、いじめのリスクが顕著です。
学年別でみると件数が最も多いのは小学2年生。そして3年生以下の低学年が、上位3位を占めています。低年齢の方がいじめの件数が多く、認知されやすいことが伺えます。
「いじめ傍観者」とは?
いじめの当事者といえば「加害者」そして「被害者」。両者、そして大人との関係で語られることが多いですが…ここにきて注目されているのが「傍観者」の存在です。
いじめ傍観者とは、加害者・被害者以外でいじめの存在を知っている、その現場を目撃している人などを指します。先生などの大人に助けを求める「通報者」や「仲裁人」とは区別される存在です。
いじめが常態化するにつれ加害者だけでなく”見て見ぬふりをする、その他の子”もクローズアップされる機会が増えました。いじめの責任追及の矛先は加害者、先生、学校、加害者の親。さらに今では「いじめ傍観者」にも向けられつつあります。
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なぜ「傍観者」でいるの?その心理とは
「あなたのクラスでいじめが起こったらどうする?」…この質問に明快な答えはありません。子を持つ親であれば、我が子にどうアドバイスすればいいでしょうか。
小さいころは「困った人がいたら助けてあげてね」と当たり前のように教えてきたけれど、いざ学校で深刻ないじめの当事者になると紋切り型のアドバイスは通用しません。いじめを目撃しても黙認してしまう、傍観者になってしまう心理とはどのようなものでしょうか。
いじめの標的になるのを避けるため
「なぜ見て見ぬふりをするの?」という質問に対して、真っ先に挙げられる答えが「次の標的にされるかもしれないから」と言うものです。
いじめは次々に標的が変わるケースも少なくありません。被害者を庇うと、次の日から庇った人がいじめられる。先生に言えば「チクった」と陰口を叩かれる。そんな心配が現実のものとして立ちはだかります。
加害者から直に威圧され、口止めされることも珍しくなく、恐怖心を抱えながら登校する子どもたちは傍観者というより” 第二の被害者”とも呼べるかもしれません。
いじめ傍観者の複雑な立ち位置
明日の標的は自分かもしれない。そんな恐怖を抱えている傍観者ですが、もちろん一番深刻なのは当の被害者へのいじめです。そして一口に傍観者といっても、”加害者寄りの傍観者”も存在し、被害者を嘲笑したり暗黙のうちにいじめに加担しているケースもあります。
その一方で、被害者を助けたいけれど表立っては助けられない、”被害者寄りの傍観者”もいます。このような見えない力関係をはらんだ人間関係は複雑なものです。
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30代、保育士。夫と未就学児の長男・小学生の長女の4人家族。初めての出産で分娩トラブル、乳腺炎、産後クライシス、保活失敗など…数々の「洗礼」を受けた経験から『特別なことをするのではなく、地に足の着いた育児』をモットーに、日々奮闘しています。現在は認定こども園で働く傍ら、ライター業にも従事。
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