「男の子は強くあれ。女の子はしおらしさが必要」
このような男の子らしさや女の子らしさを、子どもを育てるうえで大切にする親は案外多いものです。しかし、男の子が泣くことはありますし、わんぱくな女の子もいます。
つまり、これからは性別よりも、個人を大切にした保育が必要だと言えるでしょう。ここでは、ジェンダー保育について詳しく解説します。
ジェンダーについておさらいしよう
「ジェンダー平等を目指そう」という言葉が、最近良く聞かれるようになりました。ニュースや本、ドラマの中でも耳にする機会が増えたのではないでしょうか?
しかし、ジェンダーの意味を説明してほしいと言われたら、明確な答えを出す自信がない人は多いかと思います。
まずは、ジェンダーとは何かをもう一度学ぶことが大切です。
性別(sex)とは異なる
ジェンダーと性別を同じような意味として解釈している人も、いるかもしれません。しかし、これらは全く別物です。
性別(sex)とは生物学的な性差を言い、生まれたときに持っている「男性(男の子)」と「女性(女の子)」の差のことを指します。
ジェンダーは性別によって求められる役割のこと
一方、ジェンダー(gender)とは、社会が求める男性と女性に対する役割の差のことを言います。
例えば、男性(男の子)は元気であるべきで、女性(女の子)は控えめな必要があるといった類のものです。ジェンダーは国や文化によって多少異なりますが、その考え方が差別や偏見を引き起こす場合も少なくありません。
子どもをジェンダーだけに当てはめることはできない
ジェンダーは生まれたときから意識しているものではなく、子どもが成長していく過程で取り込んでしまうものです。保育園や幼稚園などで大人がジェンダーに従った教育や対応を行えば、子どもたちもジェンダーに沿った役割を期待されていることを自覚します。
しかし、さまざまなタイプの子どもがいるため、特にこれからの世の中においてジェンダーに従わせる教育を行うことは、懸念されると言えるでしょう。
合わせて読みたい
ジェンダー保育とはどういうもの?
ジェンダー保育とは、保育園や幼稚園の頃から子どもに性別やジェンダーだけではなく個人の人権や考え方を大切にしながら、育てることを目的としたものです。
私たちは子どもが幼い頃から性別やジェンダーに沿った教えを無意識に行いがちですが、多様性を受け入れることこそ大切になります。
性別だけで区切らない教育を行う
ジェンダー保育で重要なのは、性別にこだわりすぎない視点を持つことです。
例えば、お絵かきや工作をする際に「あなたは男の子だから青色を、女の子は赤色を使ってね」と決めつけるのは良くありません。なぜなら、男の子でも赤色が好きな場合もありますし、その逆もめずらしくないからです。
ポピュラーなセクシャリティ問題を押し付けない
男の子は女の子を、女の子は男の子を好きになるのは当たり前だと考えている人もいるでしょう。
しかし、すべての子どもが異性に好意を寄せるとは限りません。同性を好きになる場合もあるでしょうし、性別にはこだわらないというケースもあります。すべての子どもが同じセクシュアリティーを持っていると思い込まずに、対応することが必要です。
男の子と女の子「らしさ」を強制しない
ジェンダーは、男の子らしさや女の子らしさを求める考え方です。具体的には、「男の子だから外で遊びなさい」とたきつけたり、「女の子は大人しく過ごして」と行動を制限したりすることは、押しつけになります。固定観念として存在する【らしさ】よりも、子ども個人の考えや希望を優先します。
合わせて読みたい
福祉系大学で心理学を専攻。卒業後は、カウンセリングセンターにてメンタルヘルス対策講座の講師や個人カウンセリングに従事。その後、活躍の場を精神科病院やメンタルクリニックに移し、うつ病や統合失調症、発達障害などの患者さんやその家族に対するカウンセリングやソーシャルワーカーとして、彼らの心理的・社会的問題などの相談や支援に力を入れる。現在は、メンタルヘルス系の記事を主に執筆するライターとして活動中。《精神保健福祉士・社会福祉士》
この記事に不適切な内容が含まれている場合はこちらからご連絡ください。